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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第86章 迷い


「どうして、来られることにしたんですか」
「……今更ですね」
「ええ、前回聞こうとしたら逃げられましたので」

 逃げてない。
 そんな質問一回もなかった。
 耳に残る『I kiss you』の声が蘇って、耳を抑えたくなる衝動を堪える。

「コナン君と赤井さん、同じ反応してたから」
「〝同じ〟とは?」
「アサカって、……組織に関係あるんですよね」

 首を突っ込んでいる。
 そう言われてしまえば、その通りで。
 ……何か、零の役に立てればと考えている反面、これ以上突っ込んでしまえば逆に彼に迷惑をかけてしまうんじゃないかと思うのも、その通りで。

「アサカという名前だけでは、調べることもできなかったですが。それでも、それが組織に関わってることで、透さんの役に立てることなら私は」
「命を懸けると?」
「……それも、辞さないつもりです」
「君は、彼と同じだな」

 零のことかと思った。
 でも、その横顔で。

「もしかして、〝スコッチ〟とですか」
「……ああ」

 後悔が顔に浮かんでいる。
 それを隠さないのは、私の前だから? それとも、演技?

「羽田浩二殺害事件について知ってるか」
「……将棋の四冠王だった羽田浩二ですか?」
「知ってるのか」

 知っているというほどじゃないと首を横に振る。公安の研修に使用する未解決事件として資料になってることくらいしか知らない。
 まだすぐには着かないだろうと確認すれば、携帯を開いてその事件について調べた。

 今から17年前。
 当時将棋の四冠王だった彼はその冠に携えて趣味にしていたチェスの大会に参加すべく渡米したが、その大会前夜、宿泊していたホテルの部屋で何者かに襲われ死亡。
 部屋はかなり荒らされており、殺される際、羽田も抵抗したようだが直接の死因は不明。同日、同じホテルの別の部屋で亡くなっていたアメリカの資産家:アマンダ・ヒューズの死因も分かっておらず。
 アマンダが羽田の大ファンで交流があった事や…その日以降、アマンダが帯同していたボディーガードが姿を消している事から、アマンダが「浅香」と呼んでいたボディーガードを最重要容疑者として行方を追っているが、その消息を掴めていない。
 なお、その「浅香」という人物の身元は謎に包まれていてアマンダの家族や関係者もアマンダがその人物を雇い入れた経緯を知る者はいないらしい。


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