【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第85章 I kiss you
どこから出るの、この人のこんな甘い声。
変声機を使ってるから、なんて関係ない。
抵抗が遅れてしまって、口内に挿入ってきた熱を追い出そうと舌を動かせば、奪われて絡みつく。
だめ。
────もっとして。
やめて。
────やめないで。
理性と欲望が頭の中でぶつかりあう。
この先に与えられる快楽の心地よさを、知ってしまっているから。
服の裾から直接赤井さんの手が入ってくる。
直接触れられる背中に、まさぐるような求めるような。
いやらしさよりも、ひどく求められているような。
抵抗しないといけないのに、この人に求められることが心地よくて。
行き場を失った手は、赤井さんの肩を掴む。僅かな力と僅かな理性で引き剝がそうと、肩を押すように。だけど、重なった唇と混じり合う熱は、それに応えてしまっていて。
「んっ、ふ…あ、…っ」
耳につく甘い声が、自分の口から洩れる。
それに気をよくしたのか、後頭部に回していた左手で耳に触れてくるから。
帰らないといけない。
────帰りたくない。
抵抗ができない。
────したくない。
「やっ、んぁ…っ」
息が、苦しい。
もどかしい。
背中をまさぐる手は、決して前に触れてくれない。
焦らすように下着のホックに指をひっかけてはすぐに離れてしまう。
ぺちっ、と肌を弾く振動すら、あと少しで快感に変わってしまいそうだなんて。
…赤井さんに、おかしくされてしまう。
そして、それが──嫌じゃ、ない。
「○○、抱くぞ」
口づけの合間に宣言された言葉とともに、ごりっ、と腹部に押し当てられた赤井さんの固く昂る熱。
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