• テキストサイズ

【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第85章 I kiss you


 
「そういえば世良真純さん…でしたっけ? 彼女は来なかったんですね…」
「ああ…世良ちゃんも誘ったんだけど…」
「何かまたホテルを引っ越すからバタバタしてるからしくて」

 来てもいいんだ。
 ……自分が死んでいることになっていると思っている人物に対して、会うのは危険ではないのだろうか。
 それとも、やはり兄としては……妹の様子が気になる、とか。
 面倒見が良いのは察しているけど〝お兄ちゃん〟をやっている赤井さんの姿はどうも思い浮かばなくて、気になってくる。

「でもホテル暮らしなんて憧れちゃうよ♡」
「そーお?」

 豪邸に住んでる園子さんにとっては毎日がホテル暮らしみたいなもの。
 ホテル暮らしは憧れる部分と、やっぱり転々とする大変さを考えると憧れなかったりする部分がある。
 一度、世良さんにも接触してみて、聞いてみたい。
 お兄さんはどんな人だったのか。
 ……赤井さんにも零にも内緒にするのは難しいだろうけど。
 それは、零のためでもない。
 私が、赤井さん自身に興味を抱いているからだということに気が付けば、それはなしなし! と頭を振ってその考えを無かったことにした。

「その世良さんの周りに変わった人とか見かけませんでしたか?」
「変わった人?」
「そう、例えば…。絶えず周囲を警戒し、危険な相手なら瞬時に制圧する能力に長けた…、『浅香』という名の…。まぁ、そうは名乗っていないでしょうけど…」

 あさか。
 その名前は、初めて聞いた。
 それがどういう相手なのか、どうして訊ねるのか。
 私からは聞けない質問を、誰かがしてくれないかなんて甘い考えが浮かんで。

「『アサカ』じゃないけどいるよ一人!」
「え? そんな人いた?」
「蘭よ蘭! わたし専属のSPだし♡」
「あのねぇ…わたしは変わった人じゃないでしょ?」

 緊張の糸がほぐれるように。
 二人の会話に肩の力が抜ける。
 ああ、そうだ。
 過ぎるのは、零からあまり関わらないように言われている組織のこと。

「そうそう。『アサカ』っていえば…、ロックミュージシャンの波土禄道が今度出す新曲のタイトルが『アサカ』だよ! なんか、17年も前に作った曲にやっと歌詞つけて、今度のライブでお披露目するってさ!」

 波土禄道。
 記憶に新しい名前が話題に上がるとは思わなかった。



/ 687ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp