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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第85章 I kiss you


 顔が熱い。
 耳まで熱が集まってるのがわかる。
 ああ、……肩を揺らす沖矢さんを見て、素顔でその姿を見たかったなんて、思う時点でおかしい気持ちなのに。

「片付けは! ……してから帰ります。約束したんで」
「そうですか。それでは、蘭さんたちが来られる前に始めましょうか」

 逃げるようにリビングに戻った私とその後をゆったりと現れる沖矢さんを見る冷たい視線。

「終わった?」

 痴話喧嘩、とでも付け加えられそうな彼の視線に「ええ、終わりました」とさらりと返した沖矢さんの対応。
 今すぐにでも逃げ出したい気持ちがよぎったとき──来客を告げるチャイムが鳴った。

「私、出ますね」

 モニター越しに女子高生二人組の姿を確認して、私は玄関へと逃げたのだった。

「あれ、○○さんいらしてたんですか」
「はい、時間があったので、コナンくんと話してて、人数多いほうが良いかなと思いまして、勢いでお邪魔させてもらいました」
「わー! 助かります!」

 そういえば。
 ……蘭さんは、沖矢さんがここに住まわれる前から定期的に掃除に来ていたんだっけ。これで付き合ってないっていうから信じられないけど。
 園子さんも嫌々顔に書いているけど、友達に付き合ってくれるあたりとても優しいと思う。

 まあ、それでも。

「──ったく…、なにが悲しゅうて学校帰りの華のJKが…留守中の推理オタクの家を掃除せにゃならんのよ?」

 溜まらず不満を口にする園子さんを「まぁまぁ」と宥める蘭さんの様子には思わず笑ってしまって。

「○○さんだって、好意でしてくれてますけど! そう思いません!?」

 笑う私に園子さんが同意を求めてくるのがなおさらおかしくて。
 
「申し訳ありません、手伝って頂いて…1人で掃除するには広すぎて…」

 そういえば、どうして沖矢さんは蘭さんたちを呼んだのだろうか。
 …私を呼ぶための口実、だったりするのだろうか。
 いや、それはあまりにも自意識過剰……だよね。
 もともと、掃除にきていた蘭さんのことを考えれば、それは普通のことなのかもしれない。……と、コナンくんに視線を向ければ、「おそうじ好きなんで♡」と手のひら返す園子さんの様子に呆れた視線を向けていた。


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