【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第84章 幸せな我儘 ※裏
シャツを軽く肩に羽織って、体を起こした。零が先にシャワーを浴びている間に、シーツを替える。
……セックスのたびに乱れるのが酷くなっていく気がするけど、他の恋人同士は、……どうなんだろう。
明らかに昔より濡れやすくなって、乱れるようになって、零はそれを「可愛い」と言ってくれるけど、シーツを汚してしまうのは本当に毎回罪悪感に苛まれてしまう。
それだけ気持ち良いわけだし、夢中になってしまうから最中に気にすることはできないんだけど。
「どうかされました?」
「ひゃっ!?」
「あ、ベッドきれいにしてくれてたんですね。ありがとうございます」
ぽんぽん、と頭に置かれる手に先程のつまらない悩みはそれで飛んでしまう。
「僕が朝食作るので、○○もシャワー浴びてきて下さい。探偵事務所までお送りしますよ」
朝食は私が作るって、話していたけど、時間的にはやはりそれが効率が良いのだろう。
予定よりも時間を費やしてしまったのは申し訳なさが残る。
「キス、して」
だから「はい」と返すつもりだった。
「え?」
わかった、と言うつもりだったのに。
口から出たのは関係ない言葉。
「……物足りなかったか?」
顎を指先で掴み、唇を重ねてきた。
深く、ではなくて静かに重ねるだけの。
「最近、時間が取れてないからな。……寂しくさせたな」
「あ、いや、…っ! 違うの。……違う」
「ん?」
「……一緒に住むようになって、前よりも一緒にいる時間が増えたのは嬉しいし、だから」
だから、自分がこんなに欲張りになっているとは気づかなかった。
「幸せだけど、……わがままになってく」
「ふっ……そうですか。それは、楽しみですね」
額に落とされた口づけに、零が向ける甘い笑顔。
……時間もだけど、これ以上は私の心臓のほうが耐え切れない気がする。
「シャワー、浴びてきます!」
「はい、いってらっしゃいませ」
ああ、もう……幸せだ。
零が浴び終えた床が濡れている浴室にさえ、愛しさを覚えてしまうのだから。