第84章 幸せな我儘　※裏

「私を、触って」
「触ってる」

　右の掌を指先でなぞられて、くすぐったさに身を捩れば、零が腰を押し付けてくる。
　太ももにごりっ、と当たる熱くて固い、熱。

「時間、なかったんじゃないですか」
「ですから、早く言ってください」

　久しぶりだから求められたいんだ、って囁かれてしまったら。

「顔真っ赤」
「……全部」
「え？」
「全部、触って……？」

　どこを、じゃなくて。
　零に全部触られたい。
　繋がりたい。
　零に全身を、全部を。

「合格」

　上唇を食まれ、軽く吸われる。
　ぞくりと背中を走る感覚に、急に体中の熱が昂ってしまう。

「特別に、舐めてあげますよ」

　零の体が突然離れたと思えば、下着ごとパジャマのズボンを脱がされて、内腿を押さえられて両脚を広げられてしまう。

「やぁっ……！」
「もう、甘い匂いがする」
「～っ、だめぇ……っ」
「○○は舐められるの好きなのに、いつも嫌がるな」
「好きじゃない……っ」
「嘘つき」
「んぅぅぅっ……っ！」

　零の舌先が、陰部に口付ける。
　視線を合わせながら、蜜口から溢れる愛液をくちゅりと音を立て、舌先で舐め上げて。

「時間がないから、自分で胸を触って」
「や、だ」
「今日は嫌ばっかりだな。……抱かれたくなかったか？」
「ちがっ！」

　違う。
　本当に違う。
　零に触って欲しいし、いやらしいそこに顔を埋めながら私を見上げるのだって、本当に煽られるし。

「透さんのを、……舐め、たい」

　恥ずかしいけど、はしたないけど。

「だめ……？」

　舐め合いっこが、したいなんて。
　自分でも口にするだけで羞恥で隠れてしまいたいけど。
　私の顔を見て、驚いたように目を見張って――くすりと零が口元を緩めた。

「だめだ」

　だめじゃないときの、だめの言い方。
　優しくて意地悪で、甘い甘い。

「〝誰〟のが舐めたいか言い直して」

　零が体を起こして、スウェットのズボンを下着ごと膝までおろして。
　昂った肉棒が、力強く主張していて。

「零の、……っ、舐めたい」
「俺も舐めて欲しい」

　体を横にして。
　零が私の顔に、腰を近づける。
　熱に魘されるようで。
　口を大きく開いて、零の陰茎に手を添えて口元に含んだ。


→