【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第83章 大切な友人(そんざい)
「そんなの帝丹高校の制服着ちゃえばわかんないって!梓さんって割とロリ顔だしさー♡」
「ロ、ロリ顔?」
困惑する梓さんが可愛い。
でも、梓さんなら似合いそうだなんて口を挟みたくなるのはぐっと堪えた。
「で、でもギターって難しいんじゃ…っ」
「ちょっと練習すればすぐ弾けるようになるって!ジャジャーンって」
『○○なら、少し練習すれば弾けるようになるよ。ジャジャーンって』
『なにそれ、ヒロくんそんな簡単に言わないでよっ!』
『ははっ、ごめんごめん。でも、○○なら出来るだろ?』
ーーあぁ、懐かしいその声。
ヒロくんが私に教えてくれる時、軽口を含めて同じようなことを言ったんだ。
「んじゃ、弾いてみろよ!」
「え?」
「俺のギター貸してやるからよ。携帯アンプに繋いだから…音はすぐ出るぜ?」
私の幸せを遮る声がして、睨むように後ろを見てしまった。
大人気ない。
相手は高校生なのに。
園子さんにギターを渡して、指の位置や困惑して涙目になる園子さんに居ても立ってもいられなくなった。
「何だ出来ねぇじゃんよォ!」
うるさい。
「弾けねぇのにナマ言ってんじゃねぇよ!JKがよォ!!」
ふざけないで。
ヒロくんなら、零ならー…
ウヒャヒャ、と気を害する笑い声が響く店内に堪え切れなくなったのは私で。
ガタッとわざとらしく音を立て立ち上がっーーたところで、透さんが、零が園子さんの首の後ろのギターストラップに手をかけ、そのままギターを構えた。
私はその光景を何度も見た事がある。
いや、再会してからもその音が聴きたくて強請ったくらいで。
零が、ギターを弾いた。
それは何かの曲ではなかったと思うけどー…キュイイイン、と音を響かせた零が、……格好、良かった。
「まぁ、この子達もちょっと練習すればこれくらい弾けますよ」
柄の悪そうな二人組の男の人に、透さんがギターを返した。
なにかをこそっと園子さんに言った透さんに、胸が暖かくなる。
もう一度ゆっくりしようと席に腰をかけて珈琲に口をつける。
「それに、○○もギター弾けるんですよ」
げほっ、と噎せた。
振り返ればしたり顔で「ですよね?」と笑った透さんは相変わらずなにを考えてるのか悟らせない笑顔を私に向けた。
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