【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第82章 甘い生活
荷物をまとめれば、零が一つ一つ広げては懐かしむように笑う。
そんな姿を見て、愛おしくて笑えば触れるだけのキスをする。
終わった頃には、日を跨いでいて。
最後だから、と零とその部屋でキスをして出ていった。
少しだけ名残惜しく感じたのは、零との思い出が詰まっていたから、だろうなと。
車に積んでも余裕がある量に、零は笑っていた。
物に対して執着は少ない。
あの指輪と、ぬいぐるみと…みんながあの頃、くれた小さなものたちを除いて。
「後の荷物は」
「捨てていいよ」
「…却下。さっきも言ったように、何かあった時の場所に移しておく」
「その場所には、零はいるの?」
「お前のいるところに、俺はいるよ」
零の言葉は、何よりも嬉しかった。
運転席に座る零の膝の上に手を置いて、そばにいることを実感した。
透さんの家に着けば、零が荷物を運ぶから私も手伝おうとすれば部屋で待っててと優しい笑顔を向けられた。
部屋で待っていれば、零が荷物を二回に分けて運んでくれて。
その間に湯船を用意した。
「零」
「……少しだけ、零と呼ぶのは減らしてくれ」
「それも、そっか」
この家に住むと言うことはご近所さんとも顔を合わせるということ。
「………零とは、住めないってこと?」
「そうじゃない」
「…じゃあ、どうしたら良い?」
「監視カメラや盗聴器、…帰ってきたら必ず確認すること」
「…ん」
「この部屋には、公安の方でつけてる防犯カメラがあるから」
「は?」
「安心しろ、基本的に俺と風見しか見てない」
そんなの、聞いてない。
「待って」
「ん?」
「…これまでもずっと、部屋にカメラあったの?」
「当たり前だ………何の話だ」
誤魔化すの下手か!!と声をあげた。
うるさい夜中だぞ、と笑われながら零が抱きしめてきて。
「お前のヤらしいところは、俺しか見ない」
「何も安心できませんよ、ばか」
そういう仕事なんだ、と言われれば何も言えなくなる。
それは少なくとも私には深く関わってくるのだから。
だから
「…エッチするときは、零って呼んでいい?」
「他の男の名前を呼んだら許さない」
それが例え“透”でも。
「お風呂はいろ?」
「あぁ…喜んで」
零とキスをしながら、幸せな時間の始まりを感じた。
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