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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第82章 甘い生活


「でも大丈夫だよ」
「…でも」
「だって、私…零の家に籠るだろうし」

確かに、という目で見られた。
だって私は零がいい。
例えここより生活感のない部屋だとしても。

「降谷零が、好き」
「………わかった。ただ、何かありそうな時に逃げ込める場所は用意する」
「大丈夫だよ?」
「大丈夫じゃなかったから言ってるんだ」
「確かに」
「…ったく」

苦笑いを浮かべる零に抱きついてキスを強請れば応えてくれる。

「そういえば、お前組織以外にもストーカーとか心当たりは?」
「ん?なんで?」

ないけど、と付け加えながら零の首に腕を回して離れたくないと無言の圧。

「盗聴器が、種類違うのがいくつかあったから。…というか、見たことのない型のものまであった」
「へぇ」

そんなの、心当たりはある。
赤井さんとコナンくん。
私が家に帰ってなかったことも彼らは知ってるから、つまりはそういうこと。二人は少なくとも危害じゃなくて私を助けようとしてやってくれていることだから嫌な気はしない。…というのは、変だろうか。

「お前、心当たりあるな」
「ないです」
「おい」
「知らない知りません」

隠すな、と腕を掴むその目は私のことを心底心配してる。分かってる。

「大丈夫だよ」

その人たちは敵じゃない。
言えない言葉を、口づけに込めた。
零が目を瞑ったから、それを受け入れた合図。

「零といたら、いつまでもこんなことしてそう」
「…お前は俺をダメにするな」
「人をダメにするクッションみたいな扱いしないで」
「クッション、というより抱き枕だな?」
「枕にも!しないで!」

戯れ合いが心地よい。
もう一度、と、キスをして小さく笑いあった。
流石にと動き出していくつかまとめる荷物の中。水族館で買ってもらったぬいぐるみは絶対に持って行くと言って呆れられた。
零にプレゼントしてもらったものは、正直…それが小さな消しゴムだとしても、大事に持っていたいと思ってしまうんだ。

「他に必要なものがなければ、明日には引き払うけど」
「大丈夫」

思えばいろんなことがあったこの部屋なのに、零とこんな風に出て行く日が来るとは思っていなかった。

「どうかしたか?」
「ううん、早く…透さん家に帰りたい」

笑って見上げれば、零も嬉しそうに頷いた。




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