【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第82章 甘い生活
結局朝まで抱き合って、目が醒めると腰がだるい。
「目が覚めました?おはようございます」
「…おはようございます、透さん」
重たい瞼を擦りながら返せば、小さく笑う零が近づいて、ベッドに腰をおろした。
「体、痛みますか?」
「…平気」
零の首に腕を回して口付ける。触れるだけのキスが、幸せを実感する。
まだ広げていない、私の荷物がある部屋。
…夢じゃない。
零と、この部屋で…これから、一緒に暮らせる。
「昨夜も随分と…魅力的でしたね」
「…ばか、揶揄わないで」
今日の予定は、とスケジュール帳を開くからそれを覗きこめば“安室透”のスケジュール帳。
「透さんのスケジュール管理は、手帳なんですね」
「意外でした?」
「天才だからここに入ってると思ってた」
ここ、と言って髪に口づけると腰を抱き寄せられた。
「がっかりしました?」
「してないですよ」
「知ってます」
甘いなぁ、とこの空気に頬が緩む。
大好きな零と、迎える朝。
少し前まで考えもしなかった、こんな風に零と過ごせるなんて。
「朝ごはん食べたら、予定の擦り合わせしますよ」
だけど。
「これから貴女は僕の役に立ってもらわないといけないですからね」
その笑顔が、私に対する優しいものではなく含むような冷たさに…バーボンだと気づけば、肩を落としたくなる。
もう少しこうしていたい。
もう少し。
それを強請るように目を瞑れば、唇を舐められて額を指で押された。
「オネダリするなら、夜にしてください」
「…好きって言ってくれたら、夜にします」
「今日だけですよ」
愛してます、と耳元で囁かれて頬が緩む。
「私も、愛してる」
甘い甘い生活の始まり。
零と、過ごす時間が。
こんな風に過ごせることが幸せで。
バーボンの予定を私に伝える零を見ながら、頬が緩む私に深い深い溜め息をつかれたとき、零の頬も緩んでいるのを見逃さなかった。
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