【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第81章 僕に
「コナンくんにも、赤井さんにも、凄く感謝してる」
「…うん」
「でも私には、透さんが一番だから」
「……わかった、聞きたいことはたくさんあるけど」
例えば今どこに住んでるのか、とかと含めて言われて笑ってしまう。
「二人のことは絶対漏らさない…それだけは信じて」
「僕も赤井さんも、そのこと心配してるわけじゃないよ。○○さんなら言わないの知ってるし」
「うん、ありがとう」
そろそろいいかな、と切り出した時に透さんからの着信。
画面を見せれば出たら良いのにと言われたけど、君がいるからと意地悪く言えば呆れたように笑われた。
「よかった、○○姉ちゃんが元気で」
「沖矢さんに、今度通信機返すからって伝えてて」
「…うん、わかった」
「じゃあ、またね」
「またね、○○姉ちゃん」
その手を掴んで抱きしめた。
小さな体。
小さくて大きな…探偵さん。
「ありがとう、新一くん」
耳元で囁いてお礼を告げ、じゃあ、と離れて笑えば逆方向に歩くコナンくんを見送って、零の携帯に電話をかけた。
『どうしてお前は、安室で連絡しても俺にかかるんだ?』
「好きな人だから」
即答をすれば、ふっ、と呆れたような笑み混じりの息を吐く音。
『…今どこにいる?』
「えっと…いつも行くスーパーと逆のほうにきた」
『今すぐ迎えに行くから、そこで待ってろ』
まるで子供扱いだと思いながら、少し待って入ればやってくる零の車。
目の前に停まって…
「待たせたな」
抱きつきたい、そう思う気持ちを堪えて車に乗り込んだ。
「お手を煩わせました」
「彼、後追いかけただろ。大丈夫だったか?」
「うん、大丈夫だったよ。水族館の時から会ってなかったから、…心配してくれてたみたい」
「…そうだな」
するよな、と続けた零の独り言。
「この後の予定、無くなったんだ」
「え?」
「動く必要がなくなったと組織の方から連絡があった……風見にも確認したが本庁も問題ない。だから今日は…引越しの件、進めないか?」
「…いいよ」
鍵あったかな、と鞄の中を探る。
断るわけはないのに、伺われて少しだけ笑ってしまう。
「仮にも自宅の鍵だろ」
「零の家の鍵があればよかったから」
あった、とキーケースを見せれば微笑まれた。
…さっきからキスしたいし触れたいと思ってしまってる自分に笑ってしまう。
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