【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第79章 俺のために
零の腕の中は幸せで。
久しぶりに抱かれるときは、きっと…お互いを貪り尽くすようなものだとばかり思ってた。
達した後に零が口付ける。
避妊をする、って…言ったくせに。
私のことが大事だから、って言ったくせに。
それはまるで…私を二度と離さないと言っているようで。
独占欲のようで。
気持ちが良い。
「…○○、気持ちよかったか…?」
「…うん、気持ちよかった」
そっか、と、零が抱きしめてくる。
耳朶に、首筋に、肩に、胸元に、キスをする。
目があって唇に。
「……零」
「ん?」
「離れない選択をしてくれて、ありがとう」
でも、それは…
私にとって
「だけど、ごめんなさい」
零と幸せになる未来じゃない。
いや、いつのまにか…零とだけ幸せになれる未来じゃなくて…零と幸せになったことを祝福される未来を求めてた。
「……お前は、自分がどんな状況か分かってるのか」
「組織…特に、ジンに私の存在が、バーボンのお気に入りだとバレて、あの場で死ぬはずだった私が生きていたら…」
「バーボンが執着してるのがお前だって広まるだろう…それに、あの薬漬けに耐えられたと認識されたら…お前は、また」
「…零…」
零の首に腕を回した。
「その前に、私を組織に入れるのはどう?」
零は絶対にそんなこと考えない。
「断る」
「バーボンのお気に入りは、この体なんでしょう?」
「お前を誰かに抱かせるくらいなら、お前の意思を無視して全てを変えさせる」
ふざけるな、と怒った口調で耳朶を噛まれた。
クチュ、と舌が耳を舐める音が…
「…零…んっ、…」
「お前は、誰のものだ?」
「…んっ…待っ、耳…やめて…っ!」
囁く声が脳に直接響くようで。
大好きなその声は、甘い甘い媚薬になる。
「……零、でも私は…零だけじゃない、ここにいたい理由が他にもある」
「お前の存在で、俺のことがバレる危険性が上がっているのは分かるか?」
そんなこと言われたら……
「それでも、このままでいたいと願うか?」
最初から選択肢なんて与えられてなかった。
零は、私が言う事を聞き入れると思ってた。
「…いつから、私は…」
「受け入れてくれれば即日で」
体を少しだけ離して見つめ合う。
「もう一度言う」
俺のために死んでくれないか?
→