【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第77章 後悔(降谷視点)
「降谷さん」
病室に様子を見に来た風見が、俺の顔色を見て何か言いたげで。
「…寝られてますか」
「寝てるよ」
「食事は」
「とってる」
まるで親だな、と鼻で笑った…
「降谷さん、失礼します」
風見が目の前に立ち、大きくその手を俺に振りかざしてきた。
良い度胸だな、と脳裏で思いながら向かってくる手首を掴んだ。
「○苗字○さんが目覚めたときにその顔を見せるつもりですか!」
振り上げた手が行き場を失うように、少し力が抜けて。
「休まれてください」
心配をかけてしまったと、痛感した。
「…っ、俺の、せいで」
「それでも傍に置かれたのは貴方です」
「そうだっ…こいつを手放したくなかった。それだけで、こいつを傍に置いた」
全部俺の甘さが原因。
「……離れようとしても、ついてくるんだよ…もっと危ないことをしようとする。だから、諦めた。傍に置いた。だけど組織には関わってほしくなくて」
「情報を必要以上には渡さなかった、んですよね」
「……ああ。…だから、警戒を怠るきっかけを作った」
もっとちゃんと話していれば。
ベルモットに必要以上懐きかけていたときも。
俺が嫌だというだけで連絡を切った。
ある程度本気で嫌だと言えば言うことをきいた。
それでも言うことを聞かないことは、赤井の件で。
○○なりに考えていることが分かれば、それが俺を裏切るものではないと判断して一度飲み込んだ。絶対に話さない強固な意思が見えたから。
…俺の言うことを聞く癖に、頑固に従わないところもあって。
「……目が覚めたら、組織の手の届かないところに○○を逃がす」
「はい」
「安室透のお気に入りは壊れて捨てられた、それが筋書で」
「…はい」
「……何か言いたそうだな」
「いえ、○苗字○さんが貴方と離れるとは思えないので」
「しがみついてきそうだな」
「ええ、見ているこちらとしては少し煩わしいくらいに」
「そう思ってたのか」
「好意を一切隠す気がないですからね、彼女」
「可愛い奴だろ」
そして、深く深く息を吐いた、
「手放すつもりはない。ただ…すべてが解決するまで、遠ざける」
もう二度と。
危ない目に遭わせたくない。
そして何より
俺が、“降谷零”としていれるように。
それでも
目が覚めたら
思い切り抱きしめたい。
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