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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第77章 後悔(降谷視点)


「壊れたら適当に捨てるように言われてたし、もういいよ。その代わりちゃんと捨ててね」
「……ええ、壊れていたら捨てますよ」

捨てるわけがない。
そっと頬に触れると叫び声なのか喘ぎ声なのか分からない、耳を劈くような声。

「んううううぅぅぅぅッッ」

意識を失ってしまえば楽なのに、失えないほどの何かに襲われているようで。
その声があまりにも痛々しくて…胸が引き裂けそうになった。

「手錠のカギは」
「そこ」

パイプ椅子の下に張り付けてあって。

「そこに鍵があるからとれたら開放するねって言おうと思ってたんだけど。その前に壊れるから次はもっと強いのを連れてきてね…ベルやバーボンみたいに」

じゃあねー、とその場にそぐわない声音で男が倉庫の奥に向かう。
手錠と結束バンドを外して横抱きに抱えた。
触られるのも揺れるのも苦しそうで。
倉庫から出てベルモットが車に乗り込む前に…引き留めた。

「どういうつもりですか」

どうして○○がここに連れてこられないといけなかったのか。
それは間違いなく、すべては己のせいだと分かってはいても腕の中で痙攣するかのように震える○○を見れば問わずにいられなかった。
なにを失敗した?

「…貴方の部屋に彼女がいたからよ」
「だから連れてきたと?」
「貴方がジンに目をつけられるような行動をしたからでしょう。私のせいにしないで。それに、連絡を入れたのだから感謝してほしいわ…早くその子、楽にさせないと壊れるわよ。試験的な薬だから解毒剤もないものだし」
「組織がそんなもの用意するとは思っていませんよ」

どうすればいい。
抱けば楽になるのか。
優しくしたいのに、焦る気持ちですべてが上手くいかなくなりそうだ。

“焦りこそ最大のトラップ”

あいつらの顔が思い浮かんで深呼吸をする。
大丈夫。○○はまた笑う。
すぐにでも確認したいことはあるけれど、この場所に長居するのは危険だと判断して…警察病院まで向かった。
小さな呻き声。モソモソと、力が入らない体を…腰を、シーツに擦りつける姿。
壊れているその姿に…胸が締め付けられる。



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