• テキストサイズ

【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第76章 ちょうだい


点滴の音。
…とても嫌な夢をみた気がする。
まだ私は入院してたんだっけ…退院したことが夢だったのか。
手を動かせば手の甲につながれる点滴の針。
点滴するほどの何かなんて記憶上ないのだけど。

「○○…?」

隣にいたその気配に気づいておらず、声をかけられてそれでやっと気づいた。

「……れい?」
「目が、覚めたのか」
「うん…ごめん、寝すぎてた…?」
「馬鹿」

目が覚めないかと思った、と抱きしめられて。

「…さっきまで一緒にいたのに?」
「?」
「でも、零…怪我、治ってる」
「何を言ってるんだ?」
「え?だって、さっきまで東都水族館に、いた…よね?」

あんなことをして忘れるわけがない。
赤井さんと観覧車を下りて零の無事を確認したのは確かなのに。

「………○○、好きだよ」
「ん?」

どうしたの、と笑って抱きしめ返す。

「愛してる」
「うん…?どうしたの、もう…」

繰り返す零はまるで情緒不安定の子供みたいだ。

「大好きだよ、零」
「俺も」

零の手が震えていて。

「目が覚めて、よかった」

零が泣くから。
泣きながら笑うから…
胸がぎゅっと締めつけられて。

「大袈裟だよ…」

うん、と小さく頷いて抱きしめる力が強くて。

「痛いよ、零」

今日が何月何日で私の記憶と一致しないということに気づくのはそんなに時間は必要としなかった。

完全隔離で関係者の人の本当に一部の人しか私がいることを知らない、そのことに気づいたのは…部屋の外で行われた零と看護師さんの会話。
記憶が混在しているからまだなにも伝えないでほしいという言葉も付け加えて。
何かがおかしい、と携帯を探すにも携帯はなくて。
テレビを、と思ったのに…テレビは壊れたから、と撤去されて。
様子が明らかにおかしい零と睨めっこ。



/ 687ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp