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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第74章 療養期間


歩くたびにジャラジャラとなる音。
キスをするにも邪魔で。
外したいな、と思うのはそういう理由だけ。
これを束縛というのであれば幸せだとすら思ってしまうことに笑ってしまう。
零がいない時間に家事をして、帰ってきた零に大人しくしていろと叱られながら、3日目にはありがとうと言われた。
いってらっしゃいとおかえり、おはようとおやすみ。
照れが入りながらも私たちには必要なその挨拶に、足りなかったものはすぐに満たされた。
だから、先に折れたのは零で。

「外すか?」

必要のない手枷を指さされて、もう慣れたと笑ってしまう。

「零の好きにしていいよ」

それでも一週間。
体を動かしても痛みを伴わなくなって。
そのこともあったのだろうし、そうじゃないかもしれないし

「…まぁ、キスするにも抱き合うにも邪魔だし重いから好きじゃないけど」
「嫌なら、本気で抵抗していいんだからな?」
「何を?」

苦笑いを浮かべられて、キスをされた。
一週間ずっと、寝るときにそばにいて抱きしめてキスをして。目覚めてキスをして抱きしめあう。
ずっとこんな風に過ごしたかった。今だけなのは充分に理解しているつもりだけど、それでも夫婦のような…このやりとりが、私に幸せな夢を見させてくれて。
零が足りない気持ちは、満たされる。

「抵抗っていうか…我慢、はしてるけど」
「それは我慢しろ」
「……零は、我慢しなくてもいいと思うんだけど」

抱きしめあうのもキスをするのも、もちろん好きだけど。

「俺のことはなにも考えなくていい。それに……我慢した分、最高に気持ちいいことシてやるから」

そんなこと言われたら…我慢するしかないじゃないかって単純な自分の考えに呆れてしまいそう。

「っ…あの、さ」
「ん?」
「…仕事したい」

これ外してくれるなら、仕事がしたいと言えば笑われて。

「送り迎え付きでいいなら」
「…どこの保護者様ですか」
「一応医者にも聞いてからにしような」
「零が看てくれてるから大丈夫だよ」

手を繋いで指を絡めてキスをする。
目があって恥ずかしくなって笑う。
プラトニックな関係は私たちには向いていない。
早く零が欲しい。零で満たしてほしい。
もう十分というほどに満たされている気持ちでは足りないのだという我儘。
だから早く…零が欲しい。


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