【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第72章 純黒の悪夢(後)
「ここはまだ壊れていない…安定しているようだな」
必ずなんとかする、と赤井さんが私を床におろして。
手摺や壁に捕まっているように指示をする。
…なんで、諦めてないのだろう。
本当に…この人は、凄い人で。
「赤井さんっ…気をつけて下さいね」
「あぁ」
必ず戻ると言われて…頷いた。
この人は、私が求めてるものを知っている。
気づいてる。
赤井さんは、そのまま…支柱の外側に向かって行った。
そのあとは正直、何が起こったのかは分からなかった。
ホイールは回転を続け、何度も体が浮いたり斜めになったり。
しがみつきながら…なぜか、心強い気持ちがあった。
ここには、三人がいる。
公安の降谷零
FBIの赤井秀一
…名探偵の、工藤くん…こと、江戸川コナンくん。
気がつけば、…衝撃は無くなっていて。
「○○さん!」
「コナンくん!」
赤井さんより先に駆けつけたのが…彼だった。
傷だらけのコナンくんの頬に触れて…また彼に救われたのだと理解する。
「コナンくんは、大丈夫?怪我は?」
○○さんの方が重傷だと言われながら、コナンくんは触れることを許してくれて…どこも大きな怪我がないことが分かれば…安心して抱きしめた。
「○○さん…っ?」
「…いつもありがとう…助けてくれて」
観覧車を止めるなんて凄いよ、と笑えば当たり前のことをしただけだと微笑みで返された。
「…でも、今回…ボクらだけじゃなくて、クレーン車があったから」
「ん?」
「…いや、なんでもない」
「生きてたか」
「おかげさまで」
赤井さんが片手をポケットに入れながらやってきて…落ち着いたのがよくわかる。
「ボウヤも行くぞ」
私をまた横抱きにして抱き上げた。
観覧車をガレキの合間やまだ無事な道を見つけて…三人で下りていく。
零は無事だろうか。
二人が無事だから、無事なんだろうけど…
地上に降りると、コナンくんと赤井さんは言葉を交わすわけでもなく…お互い、真逆の方に歩いて行った。
…樹木の陰に隠れるように、赤井さんが私を降ろす。
「…すみません、いつも」
「いや、今回は…君にも驚かされたな」
赤井さんが私の体に触れてきて…折れている箇所を確認する。
「…恐らくヒビだが、…しばらく入院するだろうな」
痛いか?と訊ねられて、素直に頷いた。
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