【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第72章 純黒の悪夢(後)
集めた爆薬を、ライフルバッグに詰めて零が抱えて走る。
その後を追うように、弾丸から隠れながら走っていたけれど。
…怖い、という感情が一時的に欠落した。
生きなきゃいけない、こんなところで死にたくない、零と帰って…そして……
「ーーーーッッ!!!」
浴びるような銃弾に、しくじった。
足をかすめて走る熱さに、体のバランスを崩して床に転がった。
やばい。
やばいやばいやばい。
「○○!!!」
「私は大丈夫だから!!零は早くあの二人を見つけて合流して!」
「だがっ」
「私は、貴方と違って忘れろって言わないから!行って!!早く!!」
振り返って今にも戻ってきそうな零に、大声で背中を押して…零が駆け下りて行く。
…どうするか、なんて。銃弾が掠めた足に触れる。
銃声が鳴り止まず、あちこちに飛び交うから動くにも動けない。
しばらくして突然…銃弾が一箇所に集中する。
誰かが狙われてる。
零じゃないように。
コナンくんじゃないように。
赤井さんじゃないように。
そう思いながらも…今はこの身をなんとかするしかなくて。
とにかく下りよう。
小走りになって足をかばいながら…
銃声が再開されたのが最悪だった。
花火のような音が聞こえた後…一瞬止んだ銃声は…車軸中心に集中的に攻撃をされた。
崩れる足元。
通路がガラガラと崩れ落ちて…
あ、死ぬんだなって…一瞬思った。
体が落ちて行く。
せめて打ち身をとろうと構えて…
体がガレキに強く叩きつけられた。
「痛っ…」
「おいっ!!」
…なぜ貴方がここにいる。
ガレキの中から赤井さんが現れて…駆けつけてくる。
「無事か」
「…ええ、まぁ、なんとか生きてはいますよ」
「動けそうか」
「今ので多分骨ヤったみたいで、…正直、無理」
「……わかった」
何がわかったのだ。
赤井さんは私を横抱きにすれば、走り出す。
痛い。
痛い。
「赤井さん!!置いて行って…!」
「黙れ」
「赤井さん…っ!」
足元が、動いてる気がする。
やばい。
これ
「赤井さん、ホイールが…っ」
「のようだな」
どうするの、と私の視線にふっ、と笑う赤井さんがいて。
なんでこんな場面なのに。
観覧車が、ホイールから外れて滑るように転がって行っているのだろう。
ズシイインと地響きがして、加速したのがわかる。
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