• テキストサイズ

【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第72章 純黒の悪夢(後)


「解体は任せたぞ」

赤井さんは私たちのやりとりを確認して、組み立てたライフルを、手に持ってそう言った。

「赤井さんは?」
「爆弾があったということは、ヤツらは必ずこの観覧車で仕掛けてくる。そして、ここにある爆弾の被害に遭わず、キュラソーの奪還を実行できる唯一のルートは…」
「空から…!」

コナンくんと赤井さんの会話に、思わず上を見た。
二つのホイールの間から覗く夜空。

「俺は元の位置に戻って時間を稼ぐ。何としてでも爆弾を解除してくれ」

走り去る赤井さんの姿。
簡単に言ってくれる、と顔をしかめて零が工具箱を触る。
工具を手にして消火栓ボックスの起爆装置へ目を向ける。

「こいつの解体にどれだけ時間をもらえるかな」

車軸に仕掛けられた爆弾は、いつ爆発するかわからない。
コナンくんが突然また急ぐように階段に向かって走り出して。

「コナンくん!?」
「どうした!?コナン君!」
「ノックリストを守らないと!!」

走りながら振り返って答えたコナンくんは、階段を一気に駆け下りた。

「ったく、どいつもこいつも…」

零が溜息をついて、私を見て

「お前もだからな」

どいつもこいつも、の中に私も含まれてる。
…零と、こんな状況じゃなきゃ二人きりなんて逃げだしてるのに。
再び起爆装置に目を向ける零の表情は、真剣そのものだった。
まるでオペの助手のように、工具箱から道具を取り出して手渡しをする。
早く風見に合流しなくては…と、残された時間を気にしている零。
公安のはずなのに、…公安の動きを知らない私。
ここに着いたときも、連絡はいれていなかった。
…入れるつもりもなかったけれど。

「次は、確かコイツを…」

ピンセットでつまんだコードにナイフを近づけたとき、零の額に汗が流れた。

「おっと、危ない危ない」

体を起こした零のその汗を邪魔にならないように素早くハンカチで拭いて…近距離で見つめあった。

「…代わる?」
「大丈夫だ」

息を深く吐いて…
基盤に組み込まれたランプを見た。

「…これが光ったら、アウトってことだよね」
「“焦りこそ、最大のトラップ”だったよな」

松田さんから、言われてたこと。
そばにいて、と零が私の目を見て優しく笑ったから……
そんなの今更で、当たり前だと……

零との体の距離を少しだけ、近づけた。



/ 687ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp