【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第68章 忍び寄る影
「コナンくん」
透さんがコナンくんをみて、驚いたように彼を見る。
そんなに急いでどうしたのか、とでも言うように。
「おじさん、貴方は」
タッタッと同じく走り入ってきた探偵団の子が入り口で躓いて…倒れこむ。大丈夫?と、駆け寄りながら、コナンくんは透さんの方を見上げて。
「パン職人さんですね」
「え?」
「「「「パン職人?」」」」
探偵団の子と、私の声が重なって。
…倒れる子たちに駆け寄って、手を差し述べて立ち上がらせた。
だからさっき美味しそうな匂いがこの人からしたんだな、と納得する気持ちもあって。
「おじさんは昨日ここで朝と夕方二度もサンドイッチを食べていた。そう、安室さんの作ったサンドイッチをね…おじさんって爪をきれいにしているんだね」
透さんの肩を掴むその指先へ視線が集まる…
「ほんとだ」
「それに額に特徴的な後がある」
「なんですか?そのおでこの痕。帽子?」
「ああ、ゴムの痕ですね」
「そう…ゴムの絞りのある帽子。特にパンやうどんなどの粉ものを扱う料理人で厨房にいて接客をしないタイプの人がかぶる帽子です」
「そういえば、あの商店街に…パン屋さんがありました」
「そう、店で接客しないタイプのパン職人なら大抵毎朝早朝にパンを作り、昼過ぎに足りなくなった分をまた作る。つまり、朝と夕方は自由が効く仕事」
…相変わらずだなぁ、と思うながら彼の推理を聞く。
パン屋さんと見破ったコナンくんは、パン屋さんからいくら待っても出てこないその人が、最後の手段としてポアロに来たのではないかと思い走ってここに来た。
「最後の手段?」
「直接聞き出そうとしたんだよね。安室さんにサンドイッチの作り方を」
「そうなんですか?」
「最近ここのサンドイッチが安くてうまいという評判を聞いて…」
笑っては、いけないんだろうけど。
「○○?」
少し黙っていてくださいとにっこり真っ黒な笑顔を向けられて、分かっているのだと肩の揺れが止まらない。
…なんだこの人。
相変わらずチートが過ぎる。
その人は、透さんのサンドイッチ…特に、ハムサンドに惚れてポアロに通って、透さんが使用している材料を調べて…
「どうして、とうしてあんたはあんなうまいハムサンドが作れるんだ!!」
もう、だめだ。
堪えきれない。
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