【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第67章 言えない不安
零がその情報を知らない可能性は低い。
…零が忙しく本庁に行く理由も、今日の呼び出しも…そう考えれば繋がるんだ。
「…普通の恋人同士みたいだって、思ったばかりだったんですけど」
小馬鹿にするような鼻で笑う音がして、切なくなる。
「あのっ……私と話すときは、沖矢さんでお願いできませんか」
苦手なのだ。
…赤井さんが。
『…失礼。わかりました』
「……ごめんなさい」
『いえ、貴女にとって大きく違うようなので』
違うに決まってる。
…私は貴方が赤井さんだと知らなかったんだから。
「こちらの方も何か動きがあったら連絡いれます……情報、ありがとうございました」
『…はい、ではまた』
……何も起こらなきゃいいのに。
そしたら、零とずっと…いられるのに。
出かける準備をしなければとシャワーを浴びて…零は、きっと…怖い顔をしてるんだろうなとぼんやりと思った。
甘い時間が、私は欲しい。
「…零不足」
何でも良い。
彼に触れたい。
…ノックリスト。
切り替えないといけない脳に、先ほどの言葉を繰り返す。
赤井さんの声が脳内に残る。
…ふと、あの人とのキスを思い出して頭から冷水を被った。
スーツを着て、家を出た。
ロクでもないことしか考えない脳を、早く切り替えるために。
本庁に着けば、フロアにいたのは降谷さんと風見さん。
「おはようございます」
「…○苗字○さん、おはようございます」
「おはよう」
早かったな、と声をかけてくれる降谷さんにそんなことないですよと笑ってみせた。
…いつもの場所に座って、パソコンを立ち上げる。
ノックリスト。
もちろん閲覧権限が私にあるわけはない。
ただ、その保管先や方法をどうしてるのかも知らない。
でも、私にもわかる。
赤井さんから私に連絡が入ったということは、それを狙ってるのはバーボン側…つまり組織側。
FBIも動いてるのだろう。
…というか、本当は私以外にFBIに関わる人が公安にいるんじゃないかとすら思う。
私は……零のモノでありたいのに。
しばらく机の上の仕事を片付けていれば、清水さんが声かけてくれて零の…降谷さんの前に整列する形になる。
「ノックリストが狙われてる可能性がある」
その意味がわかるな、と降谷さんから発する声は…
昨夜の甘い声からは想像がつかなかった。
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