【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第67章 言えない不安
髪が乾いてしばらく抱き締めあってお互いを補充する。
「…○○、作ってくれたもの持って行っていいか?」
「いいよ」
すぐ詰めるね、と言って密閉容器に軽く詰める。
汁物、と思えば零が後ろから手を伸ばしてきておたまをそのまま口に運んで。
「…味噌汁、うまい」
「こーら、行儀悪いよ」
「…○○の味噌汁、好きだよ」
「っ…なんなのもう…っ…」
まるで、普通の恋人同士。
振り返ってキスをして、零が火を止めた。
首に腕を回して舌が絡み合う。
…時間がないくせに、キスだけは…我慢できない。
「行ってくる」
キスをしながら器用に密閉容器を包んでいたことがわかって…
「っ、ばか…」
「時間がなかったので」
もう一度、行ってきますと零が額にキスをするから頷いて手を振った。
…一人で零の部屋に残って、赤くなった頬を両手で押さえる。
こんなの、…甘すぎる。
一人でスるなって言われてるのに…零のベッドに倒れこんだ私は、一人自分の体を慰めた。
零に包まれてるようで気持ちよくて止まらない。
零がほしい。
零の名前を呼びながら、絶頂を迎えれば…恥ずかしさに後悔する。
「…れーい……会いたいよ」
キスだけじゃ足りない。
そんなことわかりきってる。
達した体を零のシーツに包まれば、少しだけ満たされる気持ち。
この部屋は…媚薬みたい。
達した体の気怠さに目を瞑り眠りについた。
アラームが鳴ったかと思って電話に手を伸ばしたら、着信だった。
…前にも同じことあった気がする。
「はい、…○苗字○です」
『寝起きですか』
「……沖矢さん」
おはようございます、と言いながら体を起こす。
「どうされました」
『あれから音沙汰がないので、如何かなと』
「…何もないですよ、何もなく…彼と恋人やってます、おかげさまで」
『それは良かったですね。…ところで』
ノックリストはご存知ですか、と。
「………何ですか突然」
NonOfficialCover(ノンオフィシャルカバー)
諜報部員が潜入する際に本当の身分を隠すための偽りの身分の一覧。
分かりやすく言うなら、スパイリスト。
「まさか」
『そのまさかだ』
声が突然赤井さんに変わるから…心臓に悪い。
『狙われてるぞ』
「……そんなこと知らせて、私にどう伝えろって言うんですか」
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