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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第8章 壊れるくらいの※裏


零が盛り付けると、ただの盛り合わせもなんだか高級感がある。
…センスなんだろうなぁとは思うけど昔からなんでもできるこの人が憎らしい。

「今度食器も買いに行くか」
「…はい」

不揃いのワイングラスと食器。これからは二人分。二つずつ。
小さなことだけど、それがとても嬉しくて。乾杯、とグラスを軽くぶつけてワインを口にする。
いつだったか、先輩や蘭さんからお土産でいただいたワイン。

「…美味しい」
「○○、昔はそんなにお酒飲まなかったのにな」
「零が強いから付き合えなかっただけですー」
「毛利先生には付き合ってるのにな」
「…妬いてるの?」
「そうじゃない」
「零難しい」

テレビもつけず、ただ二人でなんでもない話をしながら食事をして。

「零が時間あるときでいいから、今度は零の家に行ってみたい」
「わかった」

零が目の前にいて。こんなに優しい時間過ごせて。幸せに浮き足立つ。

「そういえば、なんで零は二人きりでも透さん呼びにこだわるの?」
「○○は普段から慣れてないとボロが出る」
「失敬な…っ!私これでも元警察!」
「今は一般市民」
「あなたと同期!」
「僕の方が成績良かった」
「…ぐっ」
「それに、○○は“透”より“零”が好きだろ」

向けられるままワインを注がれて、その言葉には当然だと素直に頷く。

「だから慣れてないとボロが出やすい」
「……まぁ、確かにそうだけど」
「ちゃんとできたらご褒美やるから」
「急に子供扱いしないで」
「欲しくないのか?ご褒美」

零の意地悪な顔。久しぶりに見た気がする。
そして私は、その顔に弱い。

「…零、でもこれだけは言わせて」
「ん?」
「零の捜査の邪魔になるようなことは、絶対しない」

だから私は人前で零とは呼ばない。

「分かってる、…○○はそういう奴だよ」

ぐいっ、と零がグラスを煽り一気に飲み干す。

「…いつまでのんびりしてるつもりだ」
「零が意地悪言うからもう少し」
「却下」

持っていたグラスを奪われて、ワインを口に含み唇を重ねられる。溢れないようにゆっくりと、口移しで注がれるアルコール。

「んぁ…っ…れい」
「ボトルも空になったから、もういいだろ?」

急に回るアルコール。…零から与えられるものは、何だかとても強く感じる。
小さく頷いて、ベッドに向かった。


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