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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第66章 緋色のエピローグ


透さんの番号に連絡をしながら…梓さんに頭を下げて小走りになる。

どこにいるの。
ベルモットさんといるの?

何度もかける私の携帯が繋がって。

『どうかされましたか?』
「…透さんっ…ポアロにいないし、」
『はい』

電話が繋がって…少しだけ安心する。

「透さん、今どこ…?体調崩して早退したって」
『あぁ…嘘ですよ。少し用事が』

何だろう。
少しだけ違和感で。

「ベルモットさん、ですか?…今話してるの」

間違ってるかもしれないけど。
…なんとなく、零とは違く感じて。

『行き届いた躾ね』
『ありがとうございます』

楽しそうな声が、突然二つした。
からかわれた、と分かれば少しだけ安心して。

「体調、悪くはないんだよね?」
『えぇ』
『…相変わらず楽しみ甲斐があるわね』

バーボン、と艶っぽい声音。

『久しぶりに私の相手、する気はあるかしら』
『僕なんかでは役不足ですよ』

私が、電話をかけてしまったから。
零が迫られてるのが分かる。
いつものように、耳にマイクをつけてるせいか…リップ音がやけにリアルに聞こえる。
電話を切ってしまえば楽なのに、もしこの先に進まれたらと思うと走る足が速くなる。

『彼女で遊ぶのは、楽しいですか』
『ええ、…お気に入りよ。今はね』

今は、の言い方には含みがある。

『じゃあ、また何かあったら連絡するわ』
『ええ、ありがとうございました』

しばらく音が聞こえなくて、小さな溜息がした。

『…今どちらにいますか』
「あっ……商店街抜けたとこ」
『向かいます』

拾いやすい場所にいてください、と言われて待てば、しばらくして車が目の前に停まる。
内側からドアを開けて、覗き込む私の腕を強く引いてきた。
腕の中に閉じ込められて、零の服を掴む。…愛おしい。


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