【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第66章 緋色のエピローグ
「バーボンっていえば。安室透は本当にシュウを組織に引き渡すつもりだったのかしら?拘束された経緯をシュウに話されたら…」
「お前らを人質に取られていたから俺は無言を通すと踏んでいたんだろう…」
そうだろ、と私を見る三人の視線から顔を逸らす。
知らない。
あの時は…零に合わせる顔がなかったし、零からあの計画について情報はほぼ渡されていなかった。
「それより解けたのか?阿笠博士の超能力トリック」
「じ、実はさっきからずーっと考えているんだけど」
「これはっていうのがなくて…」
「コースターかカップに小さく印がついていたとか…」
「哀ちゃんが博士にこっそりサインを送っていたとか…」
「それじゃあトリックにならんだろ?」
○苗字○さんは、と沖矢さんが私に目を向ける。
「…私、推理得意じゃないですよ」
「これが“彼”からの依頼だったら?」
「………概要、聞かせてもらえますか」
ジョディさんとキャメルさんが私に思い出しながら話してくれる。
阿笠博士が温かい紅茶を4つのカップに淹れて探偵団の子に振舞った。
カップはステンレス製のマグカップ。
4枚の紙のコースターの中の3枚にドクロマークをボールペンで描いた。
コースターを4枚共裏返してドクロが描いてないコースターの上にレモンを入れた紅茶のカップを載せて残りの3つの紅茶にはお酢を入れた。
そして博士は「超能力を身に付けた」と言てカップに触らずに匂いも嗅がずにお酢が入ってない紅茶を当てられると言う。
博士が後ろを向いてるスキにコップの位置を入れ替えた。
博士が選んだのは当たりのレモンの紅茶だった。
そのカップが載ってたコースターにはドクロのマークはなかった。
「…そのボールペン、油性じゃなくて摩擦で消えるボールペンだったんじゃないでしょうか」
昔、似たようなことをやったのを思い出す。
零を驚かしたくて。
「そのボールペンを使ったトリックを、昔使ったことがあるんです。…熱で消えるけど、冷やすと浮かぶ文字のトリック」
「つまり?」
「博士のコースターも同じじゃないかなと」
だからどのカップを取ってもカップの底の熱でマークは消えている。
博士は4つの紅茶全部にお酢を入れてなにも入っていないように演技をしたのだ。
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