【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第66章 緋色のエピローグ
「赤井さん、…僕が聞いてるの忘れてないよね」
声がして沖矢さんの胸板を押して無理矢理離れると、…沖矢さんの口角が上がる。
「……っ…さいっ…てー…」
コナンくんがリビングの戸の前にいて、沖矢さんは肩を小さく揺らす。
「相変わらず、快楽に弱いですね」
快楽じゃない。
…いや、…快楽には弱いと思うけど、本当に嫌な相手にはそれは感じたりしない。
…沖矢さんに、惹かれてる自分なんて…
知りたくなんてない。
気付きたくない。
「コナンくん、…すぐ、行くから」
少しだけそのイヤホン切って、と沖矢さんに自らキスをした。
…零と離れる覚悟なんてできない。
できないのに…あの一瞬でもできたのは、このキスがあったから。
何も考えたくない。
このキスが欲しい理由なんて。
長いキスと下着の上からの刺激に、達してしまった。
「シュウ?」
女の人の声。
…沖矢さんじゃなく、赤井さんを呼ぶ声。
慌てて沖矢さんの胸板を押して離れれば、リビングから顔を出したのは…学校で会った、ジョディさん。
「なんでその人が…?」
「あぁ、俺とボウヤが呼んだんだ」
乱れた服を隠すように私の前に立ち、振り返る。
その背に隠されるように息と服を整えた。
「キッチンにキャメルも連れてこい」
○苗字○さんも、と言われて。
沖矢さんから言われるその名前が、私だとは一瞬理解できなくて…反応が遅れた。
まだ戸の前にいたコナンくんを連れてジョディさんがキャメルさんを呼びにリビングへ戻れば……沖矢さんを抱き寄せて口付けた。
舌が絡んで、その舌を甘噛みしながら唾液を絡める。
知らない間に私は…
沖矢さんの熱を、…赤井秀一の熱を、求めるようになっていた。
沖矢さんに連れられて、キッチンの端に立つ。
その後すぐに入ってきたキャメルさんとジョディさんに、私は…何故自分がここにいるのか分からないくらい、居心地は最低だった。
見慣れたウイスキーが並ぶ棚をキャメルさんが眺めて。
「あれ?ないじゃないですか…スコッチ」
スコッチ。
その名前に、体が震える。
「赤井さん、ウイスキー党でバーボンと同じくらいスコッチが好きだったのに…」
初耳だった。
「最近はバーボン一筋でね」
珈琲を淹れる沖矢さん。
珈琲を淹れたカップを私に向けられて…近づきたくない三人の空間に、強制的に参加する。
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