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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第62章 譲れない想い


「前に俺が○○に調べてほしいと言った内容、覚えてるか」
「……赤井秀一、工藤新一、毛利小五郎…江戸川コナンの調査…です」
「目を合わせろ」

歯切れが突然悪くなる私は、また空気が悪くなることを恐れている。
椅子を向かい合わせて零と向き合う。

「あの報告内容に嘘はなかったんだな?」
「“嘘”は、ないです」
「…それならいい」

私の言葉に零が髪を撫でてくる。

「ずっと言おうと思っていたんだが…○○、付き合ってから隠し事が下手だな」
「……零に隠し事したくない」
「しなきゃいいのに」

小さく笑われて、その通りで。

「でも、言えないんだろ?」

小さく頷くしかできなくて。

「…でも…零が考えている通りだと、思う」

私が渡していい情報は…ないんだ。

「…俺に嘘はついているか?」
「ごめん、なさい」
「赤井の件か」

尋問にしては、優しすぎる声。
…私はこの声に…嘘がつけない。“降谷さん”相手なら…虚勢で何とかなるのに。

「○○の追及の仕方、理解した」
「…………狡い」
「○○に何度も俺を裏切らないと言われて。…少しだけ、考え直した。それに、これは俺個人からの指示であって“公安”としての任務じゃないからな。だから、お前への調査指示は取り消す」
「…そ、んなの」
「ただし…これが“任務”なら覚悟決めろ」

零が言っているのは、私が決めた零から離れる覚悟じゃなく、応える決意。

「沖矢昴と赤井秀一が別人なのは、分かった。ただ…お前が赤井秀一と何かしら関わりがあると疑ってる」

はっきりと言われて、その通りだと言ってしまいたかった。
それでも零の口調が優しくて、もうすべて吐き出してしまいたい。
こんなの…狡すぎる。

「……○○、約束してほしい」
「なにを…?」
「二度と俺以外に抱かれないって」
「……っ…そんなの」
「俺のために、って言うのなら…俺が一番○○に望んでいるのは、○○が俺のために他の男に抱かれないことだ」

優しい手が、頬を撫でる。
間違っていたのは、痛いくらい分かっていた。
でも…それでも、どうしても私ができる方法で零を守るつもりで、いたかったんだ。






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