【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第62章 譲れない想い
落ち着いたら…風見さんにきちんと謝りたい。
話すことは少ないのだけど…というか緊張する。
今朝のこともそうだけど、あの人に対する零の信頼がやっぱり羨ましいくらいではある。
だからその人に呆れられるようなことはしたくない
…今更手遅れな部分もあるけど。
このまま放置だけは、してはいけないんだ。
普段ならこんなに時間がかからない書類に対して今回の自分の行動を建前の内容しか書けずに結城さんに見てもらえば差し戻し。なんとか仕上げて承認に回せば案の定降谷さんから差し戻し。一瞬目を通してすぐ突き返しましたよ、あの人。
昨日の報告書を作成した上で顛末書を作成。
たしかにここの事務作業に慣れてきてはいたけれど、…人のことをまとめてばかりで自分の書類を作ることは少なかった。
それでもなんとか形にして、書類を提出すれば降谷さんには呆れ顔で受理された。
以降、いつもの資料室代わりの作業場所からは出てフロア内で作業を指示されて降谷さんからの内容をとにかくこなすことに専念する。
そういうのは、得意だなと自分でもちょっと呆れてしまう。
…赤井さんのことを、私情なしでまとめるには情報が少なすぎるのだ。私は…沖矢昴(彼本人)からもらった情報で赤井秀一を判断してしまっていたから。
日が暮れてフロアには降谷さんと私と、風見さん。
「…風見、そろそろ帰れ」
「いえ、まだ」
「いつ寝た」
「………一昨日、仮眠を少々」
それは寝てないと言わないだろうか。
「俺たちもそろそろ帰るから…助かった、ご苦労」
「はっ!」
…零からの言葉に、嬉しそうに返事をする風見さんに微笑んでしまう。
「○苗字○は報告書と顛末書の件でまだ残っておけ」
「…その話まだ続きますか」
「報告書はいい、顛末書の内容について」
「わかりました!…あ、…風見さん。チョコ、ご馳走様でした」
「……何のことでしょう」
風見さんじゃなかったのかな、と思う反応に零を見れば仕事に戻っていて。
…風見さんが去ってもしばらくはずっと無言。
少しでも甘い雰囲気を期待してしまう自分に今日は呆れてばかりだ。
「…○○」
「はい」
○苗字○じゃなかった、と少し心が浮足立つのが声のトーンに出た。
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