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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第62章 譲れない想い


「これだけは譲れない」
「…赤井さんのことよりも…?」
「今は見逃してやる」

もう、愛おしくて苦しい。
泣きそうになるのは…この人が好きすぎるせい。
必ず暴くと言いながら、私を手放さない決意。
私は、この人から離れる決意をしていたのに。

「ごめん、なさい」

離れようとしてごめんなさい。
貴方を守る気でいて…本当に怖いのは、私なんだ。

「ただ、自白したことだけは覚えておけ」
「じはく…?」
「赤井と関わりがあること、を」
「言ってない」
「言ったのと同じだ」
「言ってない」

言い合いになりかけて…零の腕の中に閉じ込められた。
涙が、出そうだった。

「…帰ろう、○○」
「帰る…っ」

早くもっと、もっと零が欲しい。
この腕の中で…愛されていることをもっと、実感したい。
私と零の食い違う部分を、零が解決してくれる。
零だけが、本当の意味で私を救ってくれる。


…仕事が忙しくて帰れないと思ってた。
だから、こうして零が隣で車を運転する姿が嬉しくて。

「そんなに凝視されると穴があくな」
「あかないよ、零は丈夫だもん」
「なんだよそれ」

零が愛おしくて。
軽いじゃれあいの会話すら、宝物に感じて。
家に着けば車を降りて零に抱き着く。
必要以上のスキンシップを求めれば部屋まで我慢できないんですかと笑われて抱き上げられた。
夜で、人気もない。
それが分かっていたから…口付けた。
キスをしながら階段を上がり、鍵を開けて部屋に入る。
夢中で口付ける行為に、零は応えてくれて。

「…れ、い…」

唇を離して、唾液が二人の間に糸を引く。
それに艶かしさを感じてしまって顔を逸らした。

「今更照れてるのか?」
「…だって…昼は、必死だったから…」

こんなに恥ずかしかったかな、と思う。
…服を脱いだわけでもないのに。

「………○○、顔が見たい」
「ちょっと今は…待ってほしい」
「嫌だ」

顎を掴まれて…無理矢理目を合わせられる。
顔に熱が集まるのが分かって…目だけでも、逸らす。

「…恥ずかしくて…消えちゃいたい…」
「俺の前から?」

あまりの恥ずかしさから出た言葉に、零が傷ついた声音を出すから…驚いて。

「……どこにも、行くなよ」

もう手放せないんだって…零が囁いた。



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