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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第62章 譲れない想い


甘い雰囲気が拭え切れないまま、本庁に到着した。
切り替えるしかなくて、お互いの顔を見ればなんだか笑ってしまう。

「…降谷さん」
「なんだ」
「……ううん、なんでもないです」

零は寄るとこあるから、と入口で分かれた。
ちょうど食事に出ている人も何人かいて、フロア内は人が気持ちばかり少ない。けれど、昨日の報告などで慌ただしいのは目に見て分かった。

「おかえり、○苗字○さん」
「結城さん、おはようございます」
「朝までいたんだって?仮眠で一時帰宅したって聞いたけど」

仮眠室寝心地悪いもんな、と言われてあはは、と笑って誤魔化した。
そこでヤることとヤってましたなんて絶対言えない。

「あと、上から昨日の運転経緯について顛末書提出言われてるからよろしく」
「おっと」
「結果的に問題なかったけど、命令違反であるのは変わりないから。まぁ、不問だろうけど」
「どうしてです?」
「あの場であの運転できるの、○苗字○さんだったからでしょ。いいところまで追いつめたけど、タイヤ撃たれたらどうしようもないし。それに、それ以上に赤井の件で上もバタついてるし」
「…赤井秀一って」
「前に降谷さんと潜入捜査していた人と、同じくらい銃の腕があるって噂」

ヒロくんと。

「○○さんって、その人のこと知っているって噂本当?」
「え、赤井さんを?」
「違う違う、潜入捜査していた人のほう」
「あー…知らない、ですね。降谷さんと一緒にいたのは知ってますが」
「すごい人だったって」

知ってる人の話が聞きたかったんだけど、と言われて。
まるで憧れの英雄を思い浮かべるような目に、笑ってしまった。

「憧れですか?」
「もちろん降谷さんも」
「そうですか」

好きな人たちを褒められるのは、なんだかとても気分がよかった。
ヒロくんのことを知らないと言ったのは、公安で働いている彼のことを知らないのは本当だったから。
私が知っているのは…友人としての、ヒロくん。

「にやけ面はそれくらいにして仕事してくださいね、○苗字○さん」
「…承知致しました」

机の上にあるいつも以上に多い資料。
…書類の上に、包装されたチョコレートが一つ。
誰からのだろうと思いながら書類を見れば風見さんからの書類。

「…甘い」





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