【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第62章 譲れない想い
「僕も我慢してるんですから……○○も…我慢してもらえませんか?」
「……零」
「…はい」
「今日ずっと…そばに置いて…?」
「そのつもりです」
透さんの口調は、零が我慢してるから。
そんな可愛いことをする恋人の頼みを、聞かないわけにはいかなかった。
濡れた蜜口をこっそりと拭いて服を着て。
…今すぐこの人に抱かれたい。その考えを押さえつけて…キッチンへ。
食卓の上に並ぶ小鉢とサラダと卵焼きに白米、お味噌汁。
「…時間ないので簡単にですが」
「ううん、…すごく、嬉しい…ありがとう」
「その前にキスさせてください」
へ?と情けない声が出た。
顎を掴まれ、唇が重なる。舌が入ってきて…絡め取られる。
腰を支えるように抱かれながら、服をめくって直接肌に零の手が触れた。
我慢してるのは私だけじゃないのはよく分かってるつもりだけど…こんな風に求められるのは…優越感に浸れそう。
「…ご馳走様」
「っ……おかわり、欲しい」
「残念ですが、おかわりはありません」
唇が離れて囁く零の言葉に、強請れば断られる。
…断られるのは分かっているのに誘う私も大概だ。
食卓に着き、両手を合わせていただきますと揃って言えば少しだけ冷静になれる欲。
食事の後片付けは私がして、零はその間着替えを終えた後、後ろから抱きしめてきて離れなくて…邪魔だったけど…嬉しかった。
片付けを終えて零を見上げるとキスをして。
「行くか」
私の荷物を持って、零が先に玄関を出た。
追いかけて鍵を閉め、零の隣を歩く。
当然になっている、零が運転席。私がその隣。
…ハンドルを切るその手。
なんだか車相手に嫉妬しそうになってるのは欲求不満のせいだ。
今にも抱かれたい気持ちを深呼吸で落ち着かせて、そっと窓の景色を見る。
……帰ってきた。
零の隣。
「………降谷さん」
「どうした」
「呼んだだけです」
貴方の役に立ちたい。
これから先も。
部下として…恋人として。
信号待ちで触れるだけのキスをされて恥ずかしくなる。
俺以外のことを考えるなと囁かれて…頷いた。
貴方のことしか考えてなかったけど。
嫉妬する貴方は、…もっと見たい。
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