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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第60章 緋色の帰還


ひとまず車から降りて、車の被害状況や動ける車を探す。
結城さんは先ほどから零とのやりとり。
傷口をタオルで抑え、清水さんに支えられながら地面に腰を下ろした。

「し、しかし…追えと言われましてもこの状況では」

何人か私含めて負傷者。
清水さんに大人しくしているよう言われ、彼は負傷者の確認に入る。
…あんな運転したの、初めてだった。
原理は理解していたけれど、やろうと思うこともなかったし。…運転そんなに好きじゃない。
ただ……赤井さん相手は、本当に楽しかった。
緩む顔を隠すために地面を向いたら…涙が出てきた。
何の涙か、自分でもわからなくて。
キッ、とタイヤの音して…ここには動ける車はないはずだけど、と思いながら顔をあげたら…赤井さんがそこにいた。
…初めて、赤井さんの顔を見た。
落ち着いた今、彼の顔を見て感じたのは…零の変装と違って火傷をしていなかったことに対する安堵。

「大丈夫か?」

それは、公安全体に向けられていた言葉。
自分に向けてではないとわかっているのに、条件反射で頷いてしまった。

「悪く思わんでくれよ…仕掛けてきたのはあんたらの方だし。ああでもしなければ死人でも出かねぬ勢いだったからな」

後半の言葉が、案に私の方に向けられてることに気づいて…
なんのことだか分からないと言うように肩を竦めた。

「そこで提案だが…今、あんたが持っている携帯と…さっき発砲した拳銃…交換してはくれないか?」

赤井さんの言う通りにするしか選択肢は無くて。
結城さんの携帯を赤井さんに渡されて…

「久しぶりだな。バーボン…いや、今は安室透くんだったかな」

赤井さんは零と話していた。
…すっごいなぁ。
私の周りに誰もいないことを確認して、感嘆の溜息。
コナンくんも赤井さんも…凄すぎる。

「君の連れの車をオシャカにしたお詫びに…ささやかな手土産を授けた。楠田陸道が自殺に使用したグロッグ17だ。入手ルートを探れば何かわかるかも知れん…ここは日本…そういう事は、我々より君らの方が畑だろ?」

余裕のある声音で話す赤井さんに、目を奪われた。
ここまで成功させて…
なんて、男なんだろう。
あの二人は。


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