【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第59章 緋色の希望
指輪という安定剤を奪われてしまったので…私は二人を信じることしかできない。
人任せでごめん。
それでも、頼ることしかできなかった。
降谷さんから連絡があったのは、昼前。
零に買ってもらったぬいぐるみを抱きしめて不安を誤魔化していたとき。
「…もしもし」
『家にいるか』
「はい…」
『沖矢昴は赤井秀一の線が濃厚だ』
「…はい」
『お前を尋問する必要がある…今すぐ下りて来られるか?』
「え?」
予想していなかった言葉に、ベランダに出て下を見る。
「…すぐ伺います」
白のRX-7。
零の車を認識して…
スーツに着替えて車に向かう。
「お疲れ様です、降谷さん」
「…乗れ」
車内は張り詰めた空気で痛いのに…迎えに来てくれたことが嬉しい自分に呆れてしまう。
「…降谷さん…」
「…抱かれてる時、相手は全部脱いだか?」
「え?…あ、…沖矢さんの」
「どんな風に相手がシていたか、言え」
…なんで、好きな人へ他の人に抱かれた時の状況を報告しないといけないのか。
「沖矢さんは…」
抱かれてる時のことは、零には話したくなかった。
「…服は、脱いだり脱がなかったりです。シャワーは…一緒に入ったことないです。……行為中は、別段何か変なことはないけど…余裕がある人ですよ」
「そいつの裸を見たことがあるんだな?」
「まぁ…はい」
また一つ、嘘が増える。
「変声機は」
「……別段何か変なことは、気づきませんでした」
「喉元にチョーカーをつけていなかったか?」
「…そんな小物のお洒落するような人じゃありませんよ」
舌打ちで返された。
…この話は、苦手だ。
自業自得だけど…
「あくまで、お前は沖矢昴が赤井秀一だということは否定するんだな?」
「否定も何も…私が知ってるのは友人としての…沖矢昴という大学院生です」
「………そこまで言うなら、それが嘘だった時…どうなるか分かるな?」
「…私は貴方を裏切らない」
本庁に着いて、零が降りる。
私も行って良いものなのか迷っていると外から扉を開けられた。
「早く降りろ」
「…はい」
零の後ろを着いていけば、バタバタとしている中の様子に…罪悪感。
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