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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第59章 緋色の希望


自宅に着いて、零が部屋にいた。
玄関に置いてあった指輪は、そこにはなくて……予定よりかなり早かったな、と思った。
…誰かに言う前に、私へ確認しに来たのだろうか。
去り際の零の姿を思い出して悲しくなる。
『明日は手伝って欲しいこと沢山ありますので』
…その気持ちはもう、無くなっているはず。

「寝ろと言ったはずだが…どこへ行っていた」
「…眠れそうになかったから、トレーニングへ」

甘くない声音。
降谷さんの、怒っているときの声。
なんでお前が裏切るんだと、…あの時を思い出しそうな表情に、少し心が折れそうになる。

「お前が抱き合っていた男」
「………沖矢さんのことですか?」

とりあえず部屋に入りますよ、と私の部屋なのに許可を求めてしまう。
零の顔を…見たくない。

「沖矢さんとは連絡とってないですし、あれから会ってないですよ」
「赤井秀一だということは知ってたのか」

どの反応が一番正しいのか…分からなくて、手が止まる。

「…言ってる意味が」
「沖矢昴は赤井秀一が変装している姿だっていうのは」
「零…何言ってるの」
「知ってたのか?」
「何言ってるのか…分からない」
「可能性の話だ、…夜明けとともに周辺の聞き込みを行う」

だが、と零が私の腕を掴んで…

「お前はこの部屋から一歩も出るな」
「………嫌です、貴方の役に立ちたい」
「…お前が今我儘言える立場だと思ってるのか?」

言えないのは、分かってる。
腕を掴む零の手に触れようとしたら…払われた。

「お前が赤井と本当に抱き合って愛し合ったのなら」
「…二度と私に触れたくない?」

愛し合っていたとは、言ってほしくない。貴方以外と愛を感じあった覚えはない。

「初めて、ほんの僅かに…赤井を探すのが怖いと思ったよ」

切ない声音で…心が、痛い。

「聞き込みが終わり次第…お前の話も聞いてやる」
「…今更話すことなんて」
「お前になくても…その時、俺にはある」

目線を下げると指輪が、零のポケットにあるのが膨らみで分かって…

「…………降谷さんの部下として、貴方を待ちます。何か指示があれば…連絡ください」
「…あぁ」

零が切ない声で返事をして…出て行く。
いつからここにいたんだろう。
トレーニングと言って疑わなかったあたり、来たばかりだったのかもしれない。



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