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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第59章 緋色の希望


あまり聞かせたくなかったんだけど、という前提を返して…それでも、これから零を迎えるために私ができることは…コナンくんと沖矢‥赤井さんに、助けを求めた私にできるのは、私がしたことを話すだけだった。
…一度、零と別れた本当の理由も含めて。

「…○○さんって思っていた以上に…安室さんのことが好きなんだね」
「え?」
「むしろ、依存、みたいな」

それ以上言ってやるな、と沖矢さんが私にお茶を出す。
…ゆっくりお茶を飲むような場合じゃないのに。

「……安室さんは……昔から、私の憧れで…ずっと、好きな人だから」
「…前に言っていた警察を辞めたきっかけの『大事な人』って」
「うん…彼のこと」

大事な人を作らない、そう思っていろんな人と距離を置いてたのに…零と再会してから、大事な人が増えてく。

「もう、失いたくなかったんだけど…多分もう、許してもらえない」
「…昴さんと赤井さんが、同一人物じゃないことを証明できれば良いんだよね?」
「……そう、だけど」
「その目的ならボクらも同じ。…だから、諦めないで」

…諦めるしかなかった。
期待して零の隣にいる未来を浮かべて…失うくらいなら、最初から失う未来を考えていた方が楽だったから。

「博士にも手伝って貰ってる、代役も呼んである…絶対に失敗させない」

するわけにはいかない、と…

「…コナンくんは凄いなぁ…っ」

零みたいだ。
…大好きなあの人に…この二人は、重なる部分があって。
抱きしめた。
目の前の小さな温もりを抱きしめて、泣き始めた私の頭を撫でるコナンくんが…愛おしくてたまらなくなった。

「泊まっていかれますか?」

泣き止んだ私に、沖矢さんがいつもの微笑みを向けたから、笑ってしまった。

「ヤですよ、帰ります」
「そうですか、残念ですね」
「そういう冗談はコナンくんがいないときにしてください」

いつものやつだけど、コナンくんには見られたくはないやりとり。
いつもやってるのも問題だとコナンくんに言われて笑ってしまう。

「……コナンくん…隠しててごめんね」
「ううん、…○○さん、隠し事も嘘も下手だから」
「そんなことないんだけどなぁ…」

下手ですよ、と沖矢さんも被せてきたからそれには睨んで…

「…帰ります」

夜明け前。
二人に見送られて…私は自宅に向かって走った。



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