【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第59章 緋色の希望
「お願い、透さんを止めて」
沖矢さんに迎え入れられて…私は出会い頭に頭を下げた。
深く深く。
ねぇ、ヒロくん。
私は…零をもう裏切りたくないのに、零の期待を裏切ることばかりしている。
「赤井さんを、彼から守って」
「…そのつもりだよ」
玄関に入ってすぐ頭を下げる私の前にコナンくんが、大丈夫だって私に笑いかける。
とりあえず入りなよ、と腕を引っ張るコナンくんに、少しだけ気持ちが落ち着く。
「久しぶりですね」
沖矢さんの顔で…声で、私はこの人を…都合の良い存在として、惹かれていたのに。また…都合の良い存在として頼っている。
「…お願い、透さんを…守って」
相変わらず彼のためですね、と笑われて。
「酷いことをお願いするのは分かっている、自分本位なのも分かっている…っ」
彼は、強い。
でも…不安なんだ。零が、壊れることがあったら。
ヒロくんのことに関して…零は感情的になる。当然だけど…。
「あの事だけは…絶対に話さないで…」
「彼が調べた内容より、僕の言うことを信じるあたり…貴女は、もう少し人を疑ったほうが良い」
「コナンくんと沖矢さんは私を助けてくれた……何度も。だから、それが…私が貴方たちを信じる理由」
感情的な零のことなら、知ってる。
誰よりも私が彼を感情的にさせることができる。
…生きている人間の中では、だけど。
「厄介なことがもう一つ」
「…赤井秀一=沖矢昴だとしたら、私が沖矢昴と関係をもったことは面倒なことになるって話ですよね」
「それは切実に対処方法を考えてほしい」
「……別に恋愛感情もないけど」
「○○さん」
怒られた。
「透さんには、恋愛感情がないことは話しているし、私が…誰でもよかった時に沖矢さんがいたってことに辻褄あわせしてくれたら…多分、それ以上でも何でもないよ。それに、会わないようにしているけどこうして会うときは二人きりにならないって約束しているから、会わないっていうことにしたわけじゃないし」
「……あんまり聞きたくないんだけど。昴さんも、その辺のことちゃんとボクに説明して」
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