【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第58章 最後のパーツ
「前に言ったわよね?キールが来葉峠で頭を打ちぬいて、車ごと焼き払った赤井の遺体と指紋と…あの探偵ボウヤの携帯に残っていた赤井の指紋が一致したって…」
キール、というのは組織のもう一人なんだろう。
何人組織の人間はいるんだろう…
「どうして焼死体から指紋が採れたんですか?」
「耐火加工されたズボンのポケットに手を突っ込んだまま焼かれたからよ…そういう男なのよ…ショットガンで私を撃った時も、片手はポケットの中だったし…」
「ホー…片手でショットガンを…奴らしい…」
…私は…この会話に入れるわけがなくて。
なのに、透さんは私をここにいても良いという。
赤井秀一という存在を、私は…知らないはずなのだから。
「だが、後で指紋が採取できるように…わざと遺体の手を入れていたと考えられますよね?」
「そんなに疑うなら赤井が撃たれた時の映像を観てみる?ああ…キールの首につけていた隠しカメラで撮ったとかいうムービーですね…」
「あの男…撃たれる前にこう呟いたのよ…『まさか…ここまでとはな…』一応、女優の立場から言わせてもらうけど…あれは示し合わせた台詞じゃなく…心の底から出た言葉…演技じゃないわ。でもガッカリよ…こんな茶番に付き合わされていたなんて…」
…女優。
そう言えば…ベルモットさん、女優だったんだなって…
組織としての顔しか知らないせいで…つい忘れがちになる。
「まさか…ここまでとはな……まぁ、証明してみせますよ…僕の推理が合っているかどうか…ぐうの音もでない状況に追い込んでね…」
「あら…一応居場所はつかんでいるのね…その亡霊さんの…」
「いや…それはまだですが…タネが分かればそれを調べることなんて、僕にとっては…1日あればお釣りがきますよ」
そしてそれを調べたら…私は貴方の近くにいられなくなる。
「それより…今日は随分と静かね?子猫ちゃんは」
「えぇ、少し人見知りをしてるのかもしれませんね」
突然変わる声のトーンになんの話をしてるのかと顔を上げたら…私の話をしていたらしい。
「それとも、彼の隣にいるのが自分じゃなくて嫉妬してるのかしら?」
振り返りながら微笑むベルモットさんに…
「まぁいいわ、また報告楽しみにしてるわね」
「ええ…あとこちら、返します」
ホテルの前に車を停めればベルモットさんが降りて。
去り際に盗聴器を透さんが返していた。
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