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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第57章 緋色の序章


透さんから連絡がきたのは、その後すぐ。
出掛ける支度をしながら考え事をしていた時だった。

『○○、いまどちらですか?』
「…まだ部屋ですよ」
『迎えに伺いますので、10分ほどしたら下りてこれますか?』
「もちろんです」

では、と電話が切れて…口紅を塗った。
…そろそろ零不足。
そして、これが終わったら…永遠に零不足になるのだろう。
自業自得の結末が見えながら、願うのはその結末が迎えられないこと。

「お願い…FBI」

もう、最後の頼みの綱はそこにあった。


きっかり10分後。
彼の愛車がマンション前に停まり、私を迎える。

「透さん、ありがとうございます」
「○○、疲れてますか?」
「え?…あぁ、あれから寝てないだけですよ」

寝不足が顔に出ていたとしたら、化粧が甘かったのか。
化粧ポーチを鞄から取り出そうとしたら手を止められて…キスをされた。軽く、じゃなくて…深く。
マンション前で何をしてるのか、と思う気持ちはこの快楽に流されて…舌が絡み合いながらゆっくり離れる。

「…透、さん?」
「化粧は問題無いですよ。今日もとても綺麗です……敢えて言うのでしたら、口紅がとれてしまいましたね」

口紅がうつりましたね、と指で己の唇を拭って笑うその姿に“あぁ、バーボンか”と納得した。
腰をイヤらしくなぞる手つきに、目を細めて快楽を堪える。…抱かれてないからキツイって分かってやってる彼に…どこまで強請って良いのだろう。

「…透さん、少し楽しそう」
「えぇ…楽しいです」

…その首に腕を回して、抱きついた。
少しだけ透さんが怖い笑顔をしたから。

「…昨日のアレでは、足りませんでしたか?」
「飼い犬には毎日餌を与えること、忘れないでください」
「貴女が犬……どちらかというと猫な気もしますが」

零の指が下着の中に入りかけた時…マンションから人が出てきて、私が慌てて離れた。
……忘れてた。
マンション前だったことを。

「抱かれたいって顔に書いてますね」
「…貴方のせいです」
「しっかり切り替えてくださいね、…頼りにしてますから」

その言葉は、狡い。

「……全て終わったら…あの日の続き、シてくれますか?」
「貴女は本当に、淫乱ですね」

イヤというほどに、と甘く甘く囁くバーボンの声に、下着が濡れたのが分かった。



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