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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第57章 緋色の序章


澁谷夏子が階段から突き落とされた、と連絡があったのは電話を切った数時間後。眠っていた私を起こす着信音は、零の声を聞けばすぐに目を覚ました。零の声は、少しだけトーンが高めで。…予想外に作戦がうまくいったことを喜んでいた。
最後のピースが埋まりそうだと。

「○○の方にも警察から連絡があると思いますので…言われた通りに従ってください」
「了解です…」
「…その件で貴女の家に伺いたいのですが」
「いつでも大丈夫ですよ…それに、仕事としてですよね」
「理解力に長けていて助かります」

澁谷夏子が、零の手を汚さずに事故に遭ったことに、ホッとしてしまう自分がいた。
電話を切ってスーツへ着替えた。ラフな格好だと、どうしても零として触れたくなる私は仕事モードへの切り替えを形から入る。

「こんばんは」
「…お疲れ様です、透さん」

出会ってすぐに盗聴器をつけていることを、アイコンタクトと仕草で伝えられて。
零の名前を呼んではいけないことを理解する。

「ベルモットさんは?」
「送り届けましたよ」

…盗聴器を聞いてる相手はベルモットさんだろう。

「そんなに欲情した目で見ないでください」

そんな目で見てるつもりはなかったし、むしろ目も合わせてなかったので何を言ってるのかと思って見上げたら…盗聴器の付いている服を、脱いで部屋に置いて。
…私の腕を引き、シャワー音がする浴室に連れ込んだ。

「…私、目すら合わせてなかったはずですが」
「話を聞かれたくないので。盗聴器は貴女との会話を聞くためにつけたわけではありませんし…それに、疑われたくないのでしたらここから出た後は適当に喘ぎ声を出してください」
「そんな無茶振り…」

抱きしめられて、服が濡れないように浴槽の隅に腰をかける。
…零に抱えられるように膝に座って、久しぶりに触れてる温もりに、安心する。

「楠田陸道が拳銃で死んだことを…FBIから吐かせます」
「はい」
「全て終わらせますよ」

‪景光‬、と。
…零の声が低く小さく耳元で聞こえて。
抱きしめた。

「…透さんなら絶対に終わらせてしまいますね」

そしたら、バレてしまうのだろう。
ヒロくんのことも。
赤井秀一に抱かれたことも。

「必ず終わらせる」

赤井秀一を組織に引き渡す、それが…零が望んでること。
そしてそれは、私が何よりも阻止しないといけないこと。


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