【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第56章 素直じゃない
触れられて舐められて熱を高められて。
でも、決してそれ以上はシなくて。
イけない熱に体を丸めた。
これ以上はもう嫌だと泣きそうになりながら言って髪を撫でられる。
ずっとその繰り返し。
気が狂いそうな快楽の中、それでも与えられない絶頂…
自分で慰めようとしても、掴まれて止められて。
泣きながら零の名前を呼んで求める私に、目の前の男は満足気に笑った。
アラームの音で目が覚めて、すぐに止めた。
…零の腕の中で目覚めて。
…正直、起きたらいなくなっている気がしていたから安心した。
抱いてもらえなかったのに、高められた熱はまだ、残っている気がして少しだけ気持ち悪い。
嫉妬、なのかなと思う。
零は自分の嫉妬を隠そうとするときに零で抱こうとしないことを…思い出した。
先輩に妬く理由なんてない、と思いながらも依頼人である澁谷さんに嫉妬をした私のことを含めると仕方ないのかなと思ってしまう。
「零…起きて」
零には可能な限り眠ってほしいけど、話がしたかった。
「…なに」
眠っているはずの零は、すぐに目を開けたから寝たふりだったんだなってわかると少し微笑ましかった。
「ごめんね」
妬かせてごめんなさい…そう告げたら、抱きしめられた。
「………零?」
「謝らなくていい」
抱きしめられて
「…俺も、ごめん」
「…先輩に変なこと、する前に…ちゃんと言ってほしい。零も私に不安を言葉にするよういってくれた…零にも、そうしてほしい」
言えないのは、多分…お互いのプライドのせいなんだ。
こんなにも…好きなのに、素直じゃない。
「好きって気持ち以外に、素直になれないのかな…私たち」
「……好きって気持ちも、素直じゃなかったくせに」
昔に戻りたいと思うのは、あの頃の素直さが羨ましいから。
零と再会して時間を重ねていくにつれて、素直さが奪われていく。
…隠し事が増えたせいかもしれないけれど。
それでも私は零にできるだけ素直でいたいという想いは変わらない。
「零…先輩とは」
「分かってる」
うるさい、とキスをされて。
抱きしめられた。
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