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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第56章 素直じゃない


今日は車を置いてこい、という先輩の念押しもあって。
零の家からタクシーで向かった。



「すみません、お待たせしましたっ」

賑やかな居酒屋。
…そういえば零ともこういうところに来ないせいもあって、久しぶりに賑やかなお店に入った気がする。

「おう、やっときたか」
「先輩それ何本目ですか」

机の上におつまみと、日本酒。

「二本目」
「ペース早くないですか?」
「毛利先生、お誘い頂いてありがとうございます」
「おー」

先輩椅子を引いて腰をかけながら先輩が本当に二本目なのかを伝票みてチェックを入れると三本目。

「先輩」
「お前らが来るのが遅いんだよ」

顔も赤いし、…早めにお開きにした方が良いな、とメニューを開いて飲み物を悩もうとすれば零がテーブルの下で手を握ってきた。
…邪魔、と離れようとすれば強く握られて。
掌に、文字。




…目が合えばにっこり笑って手を離された。

「○○、飲み物決まりましたか?」
「……先輩と同じので」

では僕もそれを、と。
何がしたいのかわからない。
…でも、とにかく…赤くなりつつある顔を誤魔化したい。
お酒を飲みながら、なんでもない話に…透さんが工藤新一やコナンくんの話を入れて来るから、全く酔いが回らない。
先輩は生意気だとかそういうことを言うから…大した情報でもないけれど。

「それよりっ、お前らまた何かあっただろ」

お猪口を持った手を乱暴に机に置く。

「…何かありました?」
「あー…いや、…なにも」

さっきのことを除いたら。

「今朝、透さんに会えなかったのが寂しかったのはありますけど」
「今日は探偵業だったので」

…っていうか

「先輩、寝てる」

思ったより早かった、と思って透さんを見ればにっこり笑われて。

「盛った?」
「まさか」
「……先輩に変なことしないで。透さんが忙しいのは分かってるから…無理しないで良かったのに」

とりあえずお会計済まして来る、とタクシー会社に電話をかけながら伝票を持って席を外す。
先輩を送ったら…透さんはどうするんだろう。
家に帰って一人で飲み直したい。
お会計を済ませて先に戻れば、透さんが先輩を支えながら歩いて。
外で待つタクシーに乗り込んだ。
透さんと先輩が後部座席。
私が助手席。

…なんだか落ち着かなかった。


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