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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第56章 素直じゃない


喫茶店に入って、ボックス席の透さんの隣に座る。
…バーボン、としての零が二人きりで見せるのは初めてだったから…先ほどの声がまだ耳に残って鼓動がうるさい。

「すみません、お待たせしました」

お店の扉が開いて、ショートカットの女性が入ってきた。
…透さんから見せてもらった写真と同じ人。

「こちらこそ申し訳ありません、突然時間を早めたいとお願いして」
「いえ、大丈夫ですよ。…そちらの方は?」
「僕の助手です」
「初めまして、○苗字○○○と申します」
「こちらこそ初めまして、澁谷夏子です」

とりあえず、と飲み物を頼んで私がその隣でタブレットを開いて透さんと澁谷さんの話を残す。
…ただ隣で聞いてるだけもおかしいので、それっぽくしてるだけなんだけど。
透さんへの依頼はストーカーの調査と身辺警護。
早速明日には学校の人たちに話を聞けるよう話を通しているらしく、その打ち合わせ。

「澁谷さんはこの後…?」
「学校に戻ります」

まだ残ってる仕事があって、と笑顔を向けられて。

「では、また明日も宜しくお願いします」
「はい、また」

打ち合わせが終われば頭を深く下げて澁谷さんを見送った。
喫茶店に残る透さんが、私のタブレットを取って話の概要に付け加えた。

『澁谷夏子を使ってFBIから情報を得る』
『ジョディ・スターリングを呼び出し、その夜に事故に遭う』

タブレットに追加されていく情報に、透さんの顔を見上げると…唇が触れるか触れないか、というほど…近くて。

「○○なら、できますよね」

僕のために、と掌を指でなぞって…

「…それが貴方の、望みなら」
「ありがとうございます」

…零からの言葉なのに…零じゃなくて。

「行きましょうか」
「あ、…はい」

戸惑っていた。
…事故に遭う、というのは…それは、一般市民を危険な目に遭わせる、ということ。
もちろん命には危険がないのは前提だけど。
でも零が、一般市民を危険な目に巻き込る手段を選ぶとは、正直思ってなくて。

「○○」

車の中、バーボンが口付ける。
…少しだけいつもと違うと感じる理由は、この雰囲気なのか。
胸に触れられて…透さんの服をギュ、と握る。

「…れ、い…」
「…透、です。毛利先生に連絡は?」
「これから…」

額にキスされて透さんが離れた。



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