【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第55章 都合の良い存在※裏
「…かけ直します、いま仕事中なので」
『社畜ですか』
「サボっていたのは私ですよ、誰かさんとの行為に夢中で」
『気持ちよかったですね』
…皮肉が通じない相手だし、電話切る様子無いし。
とりあえず無言でいればいいかと思いながらも、相手はそれでも切らない。…というか、何故電話なんだ。
履歴が残るから可能な限り…
「あ」
『ええ、僕が渡したものを持ち歩いていないようでしたので電話をかけさせていただきました』
零といるときに見つかっても厄介だと思って自宅にある。
『いまどちらですか』
「あー…会って話したほうが良い話?」
『盗聴されてる危険性があるので』
「…それは」
ない、とも言えない辺り何とも言えない。
「家に帰ったら、こちらからまた連絡しますから」
『彼がいたら?』
「かけませんね」
しれっと即答。
…冗談はさておき。
「…5分だけです…」
『わかりました』
どこに、と言わなくても分かってしまう関係が嫌だ。
帰る足の矛先を変えて、沖矢さんの家に向かう途中、零からの着信。
…隠し事は、したくないのに。
罪悪感が増えていく。
「…帰りたい」
零に会いたい。
俯きながら歩いていれば前から真っ赤な車。
「…沖矢さん」
「こんばんは」
…会いたくなかったなぁ、と心の中でぼんやり呟いた。
誘われるまま車に乗り込み、私の家の方向へ走る。
「…何かありましたか?」
「一応お伝えしておこうかと思いまして」
ボウヤが貴女のことを探っている、と。
「何も出ないのに」
「…一応伝えていたんですが、貴女が下手に隠し事をされていたようなので」
「貴方が伝えてないからですよ」
安室透が公安の人間だということを。
「私を探ってもただのフリーターですよ、基本は」
「ええ、そうでしょうね」
こんな時間までフリーターは大変ですねと言われて。
「それだけですか?」
「ええ」
「……急ぎじゃないなら明日でもよかったじゃないですか」
「本当は、貴女の顔が見たいだけだったと言ったら?」
…何言ってるんだこの人は。
「私たちはそういう関係じゃないですよ」
「…そうだな」
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