【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第53章 報告※裏
花束をご機嫌に抱えて助手席に座る私に、零は照れていて。
照れる零に、頬は緩む。
「零、花言葉ってなんだったっけ?」
「覚えの悪い○○じゃないでしょう」
「覚えの悪い○○かも」
言いませんよ、と返されて。
ちょっと不満。
…まぁ、言ってくれたら嬉しいなぁくらいの気持ちだったけど。
「……今日、探偵事務所終わったらポアロに来てくださいね」
「ん?あぁ、はーい」
「盛大に怒られてください、風見に」
………忘れてた。
「随分…お会いしてないなぁ」
「………あっちは、そうでもないけどな」
「え?」
「…何度か見かけたらしいぞ。わざわざ報告が何度かあった」
私が落ち込んでるようだったとか、やつれてるとか。
「いい迷惑」
「……思ってないくせに」
見かけた、のか、見に来たのか。
…私は、零のことばかり考えて…
沖矢さんだけじゃなくて、もっと他の人に…特に公安の人に、迷惑をかけてた。
結城さんや清水さんに連れられた居酒屋を思い出して…
「……また付き合ったこと、言ったの?」
「いや、まだ」
言う暇なかったもんな、と思いながら…零の膝に手を置く。
「どうした?」
「…ごめんなさい」
「もういい…俺に謝るのは」
頭をくしゃ、と撫でられて…
「風見たちには、しっかり謝れ」
「はい」
信号待ちでキスをされて。
「恋人としては、もう…十分謝っただろ?」
「…うん」
「上司としては、全く許してないけどな」
…一番怖い人に許しを得られてなかった。
「それについては、いま話す気はない」
「………怖」
心からの言葉だった。
零がとても怖い笑顔を向けてくるから、目を逸らした。
車が私のマンション前に停まって…
「ありがとう、送ってくれて」
「…どういたしまして」
キスをして…離れがたいなって思って、零に抱きついた。
「……○○?」
「…本当にありがとう…大好き」
両手の薬指に嵌められた指輪は、零の恋人としての証と…零との未来の約束。
貴方との幸せな家庭を、いつか。
「零が、大好き」
「…そろそろ時間無くなるぞ」
うん、と頷いて零の頬にキスをした。
「行ってきます」
「……あまり可愛いことするな」
小さな溜息のあと…行ってらっしゃい、と頬を撫でられてキスをされた。
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