【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第51章 予約※裏
店内に入ろうとする零の手を引いて、立ち止まる。
「…昨日の、ことなら…」
「前々から考えてたんですよ。……驚かせちゃいましたね」
優しい笑顔で。
話をしましょう、と…ベンチを指差されて頷いた。
ベンチに座り、ファッションモールを楽しむ人たちを眺めて…
零の横顔へ目を向けた。
零が、私に顔を向けて…頬に触れてくる。
「…結婚は○○の言う通り、すぐには出来ない。いつになるかもわからない。…ただ、予約をさせて欲しい」
頬を撫でる手を下ろして…私の左手を手に取り、薬指を唇に当てた。
「○○じゃなきゃ嫌なんだ」
こんなところで言うつもりはなかった、と…優しく抱きしめられて。
「形だけでも受け取って欲しい」
昨日のことが原因で、零がそんなことを言ったなら…私は迷わず断っていた。
…こんなに、真摯な目で見られて、こんなに…まっすぐな言葉で。
「私で、…いいの?」
「何度言ったら分かる…?」
お前が良いんだよ、と強く強く抱きしめられて。
涙が出そうだった。
その背中に手を回して、力を込めた。
「…お婆ちゃんになる前に…迎えに来てね」
「そんなに待たせるつもりはないから安心しろ」
零を愛してる。
ゆっくり口付けて…愛おしくて。
人がたくさんいるところだってことを、その瞬間忘れていた。
「…そろそろ悪目立ちするので行きますか」
チラホラと向けられる視線に気づいて…顔が赤くなる。
零とジュエリーショップに入ればなんだか緊張してしまって。
「給与3ヶ月分ですかね、こういうとき」
「本当にやめてください」
降谷零の給与3ヶ月分、なんて想像するだけで恐ろしい。
「最高予算は安室透さんの、ポアロの給与一ヶ月分で」
「嫌です」
それ以上言うと勝手に決めちゃいますよ、なんて言われて。
「……透さん、これ好き」
ダイヤの装飾もないシンプルな指輪を指差して。
「…これなら貴方も、つけられるでしょ?」
「………○○が気に入ったなら」
店員さんと零が話して…指のサイズを聞かれて、零が答えた。
…私も知らないことをなぜ零が知ってるのか。
これまで、興味がなかったから入ったこともなかったけど…
こういうのもあるんだなぁ、とケース内のジュエリーを眺めた。
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