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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第51章 予約※裏


お会計だけなので、と零の隣にいようとすると好きに見てくださいと言われて。
店内を回っていたけれど、店員さんとの話が長い零が、なんだか嬉しそうに話してるのは少し不満で。

「はい、お待たせしました」
「…私の前で女の人と長話禁止」
「……店員さんですが?」
「店員さんも」

困りましたね、と笑われて。
片手に持つジュエリーショップの袋。
私が持ちたいと言えば嫌ですと笑って拒まれて。
早く、それが欲しかった。



せっかくなのでと少し遅いランチへ零に連れていかれたのは某有名ホテルのフレンチレストラン。

「いつまでも慣れそうにないや」
「…僕以外と行くのは控えてくださいね」
「透さん以外と来たことないですよ」

沖矢さんとのこと勘違いしてるとこあるよなぁ、と。

「デートも、透さん以外としたことありませんけど」

ランチで零とこういうホテルで食べることはなかったな、と思ってなんだか温かくなる。料理が美味しくて、食べ終わった後…
ボーイさんが運んで来たデザートが乗ったプレートと可愛いお花で飾られたジュエリーケース。
…小さく笑ってしまった。

「透さん、こういうの好きだよね」
「ええ、先程は失敗したので」
「…でも、嬉しい」

正直、席に着くときにショップ袋を持ってないことには気づいてたから驚きはしなかったけれど。

「開けてください」
「はい」

肘をついて、私を嬉しそうに眺めて。
…私は、零を侮ってたんだなって思う…

ジュエリーケースを開けた指輪は、私が選んだものじゃなかった。
少し大きなダイヤの装飾がある、綺麗なデザインの…婚約指輪。

「…待って」
「給与三ヶ月、とは言いませんが…怒られそうでしたし」
「待って…、…零…これ」

私の手から、ジュエリーケースを取って…指輪を取り出す。

「左手」

零が、手を出すように言って…
先程堪えられた涙が…堪えられなくて。

「………○○、左手」

もう一度言われて…零に左手を差し出せば、薬指に着けられる。

「…絶対…高かった…っ」
「○○の笑顔が見れるなら安いですよ」

笑えない。
…もう、目の前が涙で。
嬉しいのに、…嬉しい気持ちが、キャパオーバーで。

「まぁ、…その泣き顔も好きですよ」

ホテルとってるんですけどいかがですか、なんて。
この人には永遠に敵うわけがないって思った。


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