【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第50章 全部受け止めて※裏
「安室さんも価値観の違いって言って誤魔化し、どこのバンドの話ですかって喉まで出かかって堪えたんですよ!!」
…透さんも私の話をしたくなかった訳だって思えば笑ってしまって。
「喧嘩してたんです、…私が透さんを怒らせて、私が別れるって言って…それから取り返しつかなくなって」
「…だからって本当に別れないでくださいよー…っ…○○さん、全然ポアロ来ないし…っ、寂しかったんですよ…!」
「はは、梓さんは○○が好きですからね」
と言いながらカウンターから出て私と梓さんを引き剥がす。
…笑顔だけど、優しいけど、少し乱暴。
「まだ僕も抱きしめてないですから、抜け駆けはダメです」
「待っ、待って待って!」
抱きしめようとしないでほしい。
……我慢、できなくなる。
「…あー…そう、ですね」
「ん、…そう、です」
俯いて顔が赤くなる。
梓さんが嬉しそうに私たちを見て、
「安室さん、今日早上がりして大丈夫ですよっ!」
「いや、それは流石に」
「マスターも二人のこと心配してましたし」
「夕方の忙しい時間まではいますよ」
「…なんなら、私も手伝いますし」
それですね!と梓さんが両手を合わせて喜んで。
あったはずだとエプロンを渡された。
「…えっと?」
「○○、これ5分で覚えてくださいね」
透さんもノリ気で。
メニュー一式も、価格も……
「それくらい覚えてますよ」
貴方の働くところのことくらい、と言えば満足気に笑われて。
「珈琲の淹れ方は?」
「…ただのお手伝いに何させる気ですか」
「大丈夫ですよ、○○にはチート機能付いてますから」
「…透さんじゃあるまいし」
それに、私のは…零がいるからだ。
零がいるから、何でも…何とでもしようとする。
零といるために、必死。
ただ、それだけなんだ。
透さんが何がほしいのか、何を探してるのか、いつも見ていた視線や動きで読めてしまって。
自然とフォローに入る私に、梓さんが感動したように拍手をして………やりすぎた、と途中で気づいて洗い物に専念した。
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