【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第50章 全部受け止めて※裏
零に家まで送ってもらい、またね、と笑って別れた。
…零と笑って別れることができることが幸せで。
こんなにも、大事なんだって…改めて思い知る。
お昼過ぎに家を出た。
工藤新一宅の沖矢さんのところに着いて、いつも通り呼び鈴を鳴らす。
いつもと変わらない沖矢さんに迎えられて、家に迎え入れられた。
ソファーに座りながら、出されたお茶を楽しむ。沖矢さんが真向かいに座って、本題に入りますか、と片肘をついて私を見る。
「君の彼氏、昔のあだ名ゼロって言うんですね」
…あー、その顔はバレたなって心底思った。
「公安警察の降谷零」
沖矢さんからその名前が出て…それでも、驚かないのは彼が何者なのか、否定した中に答えがあるとそろそろ認めざるを得ないから。
「…そこまで知ってるなら、それ以上私からは何もないですよ」
「まあ、君が以前寝言で『れい』と言っていたので簡単でしたよ」
「……だめじゃん私」
零に一生秘密にしないといけないことがまた増えた。
「簡単に男に気を許して寝るものじゃありませんよ」
「沖矢さんが上手いんですよ、警戒心解かせるの。それに…貴方だって、沖矢昴じゃないくせに」
零のことを、調べられる人間が、ただの大学院生じゃない。
FBIのことも、含めるとすべて、この人がただの大学院生なわけじゃないんだ。
「そんなあなたは、赤井秀一さん、ですか?」
優しい笑顔で、さあ?と肩を竦める沖矢さん。
何度も馬鹿げていると思っては否定したけれど…そうであれば、納得してしまうことのほうが多くなってしまった。
「焼死体で見つかったっていう赤井秀一さんの死体は、おそらく貴方が私に教えた『楠田陸道』。そのトリックは私にはわからないことだらけなんですけど…すべて…彼なら絶対暴きますよ」
それなのに、どうして私にその情報を与えたのか。
「……ほんっと、最悪な話ですよ。大好きな人が憎んでいる相手と何度もシてたって」
それを言葉にするととても最悪なのに、私の心は…最悪だなんて思ってない。
「……でも、それを除いたら、私は沖矢さんに惹かれてました。恋じゃないかもしれないですけど、人としては間違いなく」
だから私が惹かれた沖矢昴という人間が偽物だったことが少し悲しいのだ。
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