【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第49章 溢れ出す本音(キモチ)
透さんの家に着いて、無言で降りる零にどうしたら正解なのか分からなくて車から動けずにいれば、零が外からドアをあけた。
「降りてください」
「……怒ってる零と、話すのは怖い」
傷つきたくない。
…あの時みたいに、強がって…結果零を失うようなことは、もう…したくない。
「…貴女に触れれば、少しは落ち着きますから早く部屋に行きませんか」
苛立っているのは、…私が足りないから?
そう受け取れる言葉に小さく頷いた。
零と手を繋ぎ、部屋に入った。
…最後にここに来たときから、見るあの夢。
私が零を裏切った、悲痛な零の声。
「…○○?入らないのか」
「あ、…お邪魔、します」
寝室へとまっすぐ向かう零が、声をかけてきて…なんだか、居心地が良かったこの部屋がとても…苦しくて。
あの日、零が…涙を流さずに泣いていた声。
強い力。カサブタも治ったはずの首筋が、痛む。
「…零…」
「ん?」
柔らかい声。
「…抱き着いても、いいですか」
「……ああ」
零が優しく広げる腕の中に…抱き着いた。
零の匂い。
零の温もり。
零の…音。
「ずっと、こうしたかった…」
何も解決していない。
何も、伝えてない。
謝ってない。
それでも…零が足りなさ過ぎて。
いまはただ、抱きしめあうだけで…足りない気持ちが、落ち着いていく。
「…キスは…だめですか」
「○○がちゃんと訳を話すなら」
「訳…?」
「嘘、…俺もしたい」
何を求めているのか、首を傾げたら零が何も話さなくていいと…ベッドに体が、沈む。
零の重みが心地よい。
ベッドは零の匂いで。
涙が止まらなくて。
貴方が欲しい。
零から与えられるすべてが、欲しい。
痛みも苦しみも…狂気でも嫉妬でも…
悪い感情のすべてでもいい。
すべてを含めて、愛おしいと思うんだ。
零を両手を重ねて、キスをする。
求めるようにもっと深く深く舌が絡んで混じりあい…苦しいくらい強く強く抱きしめあった。
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