【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第46章 与えられる情報
私はただ、貴方の役に立ちたいだけだって。
…恋愛感情だけでもそれを抜きにしても。それが重なっているから今は…何よりも。
私は降谷零という人間の役に立ちたい。
だから、弱みになんてなりたくない。…零の世界で一番最初に切り捨てる存在は私であってほしい。
そう思う反面、どこかで零の最後に選ばれる私でもありたいと傲慢に願うこともある。
あれから、安室さんと少しだけ話せるようになった。 挨拶程度だけど。
…正確には、私が極端に避けなくなった、というべきなのか。
首筋の鬱血痕はなくなり、傷痕だけがまだ少しだけ残っている。
…かさぶたができれば、剝がしてを繰り返し治りを遅くしているのは私の意志。
目立たないようにタートルネックやスカーフを付けて隠していて。
この傷が治るまでには…零にもう一度、抱いてほしかった。
零にも抱いてもらえていないのに、沖矢さんに抱かれる理由もなく。
…ただ、会うたびにキスはしていて。キスの意味は何もないけれど。
毎日声を聞くのは沖矢さん。
確かに、付き合っているように見えるなぁ、なんて他人事のように思った。
私は沖矢さんの正体について、可能性の話だけを思い浮かべた。
零が、赤井秀一の姿をした時のように。
変装をしている可能性を。
沖矢さんが赤井秀一だとしたら。
…そんなふざけた妄想を浮かべて、一人で笑う。
さすがに、大好きな人の恨んでいる相手でヒロくんの死に立ち会った人と寝たなんて…冗談にしても、趣味の悪い話だった。
ただ、彼が変装をしている可能性は、拭えていない。
行為中も、彼の裸を見たことないし、シャワーも一緒に浴びたことはない。
別にそれでいいかなと思っているのは、相手に対しての感情の違い。
…正直、そこまで興味がないのも事実。
彼がどんな顔をしていてどんな正体だとしても、沖矢昴が私を助けてくれた事実だけはあるのだから。
沖矢昴に対しての気持ちは恋愛ではないはずなのに。
…どうしてか、離れることはできなくなっていた。
それは今、私に零がいないからだと…思うことに、していた。
→